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漫画における感情表現

キナ

 漫画『星降るまち空のふもと2080』の主人公、カントとキナの表情練習。
 映画でもドラマでもそうなんですが、主人公の感情は、そのシーン全体で表現されているので、表情のみを取り上げて「描けねえ〜」って悩んでてもしょうがありません。シナリオの時間軸の中で、その主人公の感情が読み取れるようにコマ割りやキャラを配置して、セリフを落とし込んでく。白と黒のバランス、その場のディティールや質感、空気感も登場人物の感情表現につながっているから大変です。
 でも、それは時間をかけて詳細を描き込んでも解決しないんですよね。大友克洋の『AKIRA』や志郎正宗の『攻殻機動隊』、最近では原泰久の『キングダム』のように頁の中に圧倒的な情報を描き込んでしまうという手法もありますが、読者の知らない風景を見せるという意味ではいいのですが、全編埋め尽くすのはとにかく大変。しかも、背景を描き込んだ分、人物のキャラを濃くしなければ埋没してしまいます。宮崎駿の『風の谷のナウシカ』でも、登場人物たちは徹底して濃いキャラになっています。

 カントとキナは、できれば自然体であって欲しいので、「2080年の八ヶ岳という背景」とシンクロしているような表現にしたい。例えば、大島弓子の諸作品では、背景は必要最小限。しかも登場人物の感情と背景がゆるやかに融合しています。感情表現としては大好きなのですが、2080年の背景設定も描きたい。やっぱり、五十嵐大介の『リトル・フォレスト』が、お手本でしょうか。

2020年10月28日

『星降るまち空のふもと2080』考察メモ
(1)コンセプト編 →(略)60年後の暮らしを考えてみる
https://note.com/yatsugatake_blue/n/n31745ba587e4
(2)キャラ設定編 →キャラ設定編(1)
https://note.com/yatsugatake_blue/n/n6d11dcb684b1
(3)キャラ設定編 →キャラ設定編(2)
https://note.com/yatsugatake_blue/n/n1c0d1cef2b35
(4)エピソード編 →エピソード編
https://note.com/yatsugatake_blue/n/nc4e5e7ecfb04
(5)前日譚考
https://note.com/yatsugatake_blue/n/nc9890f10a432
(6)練習版(8頁)
https://note.com/yatsugatake_blue/n/n4d0e35a6fc9f
(7)登場人物の名前を考察する
https://note.com/yatsugatake_blue/n/n358bd6cbdd7c


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