あっ、やっぱりぼくはパパだった。
仕事で2ヶ月鹿児島に滞在した。
その期間は一度も家族に会うことはなく
たまにLINEでビデオ通話するくらい。
最初はうわぁーと仕事をしていたから
家族も会えない寂しさのような感情は
感じる暇もなかった。
1ヶ月くらいたったときに初めて思った。
「あれ?ぼくには家族いるのか?」
世の中の単身赴任している人に聞いてみたい
「一緒にいないのに家族を感じられるか?」
あほみたいな質問だけれども
ぼくにとっては「一緒にいること」が
意外にも大切なことだと気づかされた。
もちろん出張期間中も
家族のことを考えなかったわけではない。
考えるけれども触れ合える距離にいない。
画面越しにいる家族の笑顔は見えるけど
それはリアルとは程遠いものだった。
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2ヶ月の出張を終えて、家族のもとに戻った。
長期出張の経験のある先輩から
「帰って手を広げてしゃがんでみて、子どもたちが飛びついてくるぞ」
という、素晴らしくわくわくするアドバイスを受けて
重いキャリーケースを引きながら
心のなかはルンルンのスキップ状態。
ついに家の前に到着して
家の鍵を開ける。
おもいっきりドアを開けて
手を広げて、しゃがむ。
そうでしたよね、先輩
と心のなかで会話する。よし、いくぞ!
ピッピッピッとボタンを押して
家の鍵を開ける。
ドアノブを引く!ガチャ、
「ただい、ガキン!、ま」
あれ?
思い描いた感動の再会は
ドアガードによって、見事にガードされた。
「あっ、ごめんごめーん」
と何の悪気もない奥さんの声がきこえる。
先輩のアドバイスどおりにはいかなかったけど
「パパ〜パパ〜」
「パパ!パパ!」
と子どもたちからのパパラッシュ。
人生で一番「パ」を聞いた日として
ぼくの心に刻まれた。
2ヶ月ぶりに触れる家族の存在が
薄れそうになっていた意識、感覚を
思い出させてくれた…
「あっ、やっぱりぼくはパパだった」