Myth
さっきまですぐ近くにいたのに、気づけば遠く離れてしまっていたみたいだ。
あのままならよかったといつも思う。でも後悔はしてない。あれが私が出せる、その時の一番いい答えだったから。
…
そうやって自分に言い聞かせる。本心なのか、ただ自分を慰めるための言い訳なのかはもうわからない。
あなたを忘れられない。好きな曲を聞いては、風を感じては思い出してしまう。目の前に影が立ち上がる。
思い出すのは辛いけど、なぜか少しだけ心が温かくなる。
ああ
どうしようもなく幸せだった。胸の奥から溢れ出しそうなくらいに。何かを口にしようとすれば喉の奥が熱くなって、何を言おうとしていたか忘れてしまう。思い出を巡るたび、その感覚が呼び覚まされる。
痛いのと、温かいのが同時にやってきて感情の形がわからなくなる。目の奥が熱くなってこぼれ落ちる。手で顔を押さえてみる。
そんなに多くのことは求めない。ただあなたのそばにいて、例えば一緒に映画を見てその隣であなたが涙を流すところを見れさえすればよかった。それだけで幸せだった。結局最後まで一緒に映画は見れなかった。
心が行き場を失う
やとわ
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