人からのアドバイスが「命令」や「評価」に変換されてしまうときの感情処理問題を考える
アドバイスが「命令」や「評価」に聞こえる
人からああしなさいこうしなさいといわれるわけではないが、ちょっと仕事の中でわからないことをきいたら「こうすればいいじゃん?」とか「私ならこうするけどね」という言葉をいただくことがある。
上司であっても同僚であっても、そういう時があると思う。決して「命令」とか「指示」ではなく、「よくわからないけど、自分だったらこうするかなあ」という類のライトなやりとり。
そこに暗に含まれるのは「うーん、聞かれたからとりあえず答えるけど、どうするかはあなたにまかせるね」というプロトコルである。
しかし、自分の中で、このライトなアドバイスが「こうしなさい」という命令に聞こえたり、私が何かしたことに対して、相手の感想が「評価」に聞こえたりして、勝手に凹むことがある。
これ、人によっては全く理解できない感覚であると思う。というのも、私は「となりの雑談」における「土グループ」に所属している?という感覚があるからだ。
土グループとはなにか?
「土グループ」とは、桜林直子さんと、ジェーン・スーさんのポッドキャスト番組の中で言及された概念である。「自分に自信がなく」「自分がこうしたい、という欲求が自分でわからない」という人。
土グループについて言及したnoteも拝読し、定義をお借りしてきました。
自分で決めることをあきらめている人
以上の定義も拝借しつつ、自分で自分のことを分析すると、私は「自分は、物事を自分で決めることができない」と、自分で自分のことを決めつけている、人間である(ややこしい)。
自分で決めることができない、自分に自信がない私にとって、何かを決定する権限を持っているのは、常に私以外の人である(真実ではなく、そういう奥深い感覚がある)。
そんな私にとっては「こうしたらいいんじゃない?」とか「私なら◯◯しないけどね」という人からの言葉は「聞き流していい言葉」ではなく、従うべき「指示」や、もう取り返しのつかない「評価」に聞こえてしまう。気にしなければいい、という問題ではなく、認識レベルでそう聞こえてしまう。脳がそうなっている。
自分で決めないことは「無責任」な行為である
このとき本当に私がすべき対処は
相手に感謝しつつ、言っていることは真に受けすぎない
アドバイスを受け取りつつ、それを採用するかは自分できめる
になるのではないだろうか?
しかし、本当に起きていることはその真逆で
アドバイスを全て採用し、相手の言う通りにする。結果、自分に合っていないのでうまくいかないこともある。そのときに「言ったとおりにしたのにうまくいかなかった」と相手を(心のなかで)責める
相手の感想を「評価」ととらえ「本当に申し訳ありません」と過剰に謝罪し相手を当惑させる
という反応である。
つまり、自分で責任を取るのが怖いので、責任を謝罪という形で他人に転嫁しようとしているのだ。
しかし、自分で決めることが許されていない、という感覚を持つ人にとって、責任を持つのは恐怖なのだ。社会動物である人にとって、「自分で決めることで他者から拒絶されるかもしれない」という恐怖は計り知れない。
だから「自分で決めた」ではなく「人に決めてもらう」という行動に出てしまう。
自分で決めるために「自己肯定感」が必要なのかも?
しかし、私はこうしてこういうnoteを書くことができているように、「頭ではわかっている」。
「相手に決めてもらう」という行動原理は不自由だし、本当には成り立たない。
そして、いちいち相手の言っていることを「指示」とか「評価」と聞いてしまっていたら疲れてしまう。本当は自分から事を起こすのが一番いい。
わかっている。頭では。しかし、本当に手強いのは感情。感情は勝手にライジングし、私は絶望のどん底に陥れる。おそらく、こういう恐怖の瞬間に感情を落ち着かせるもの、として効いてくるのが「自己肯定感のトレーニング」なのではないだろうか。
私はずっと、自己肯定感がなんなのか、よくわからなかった。
過去こんな記事も書いた。
「自分で決めることに伴う恐怖や不安」を感じているとき、そのときに必要なのは、明確な「安心」であり、自分で責任を引き受けることの行動を起こすことを後押ししてくれる(少なくとも勇気をくれる)感覚だ。
私が欲しているのは、「自分はだめだ」という自己否定や反省ではなく、明確な「安心」の感覚なのだ。
「自己肯定感」とは、まさに「安心」の感覚なのかもしれない。けれど、今まで持ったことがないからわからない。「自分は大丈夫だ」という感覚になれない。
このように「自己肯定感」なるものがよくわからない、という人は一定人数いるのではないか・・・と考える。
もしかすると、自己肯定感の有無による、無自覚な格差があるんじゃないか?という問題意識を私は抱いているのだが、これはまた別に書きます。