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君が見る世界、僕が見る君 #02

志麻場 総司(しまば そうし)

「やはり、あの時見えた子だったか」
 スッ、メガネの中央を押してズレを治す。クラスのみんなは転校生が来ることまでは、どこかしらで知ったのだろう。しかし、容姿までは知らないようだ、証拠に性別まで分かっている人がいない様だからな。
 俺は、朝早く学校に来る。なぜか、簡単だ登校途中に知り合いに会って、学校まで何も話すことがないのに、行き先が同じという理由だけで一緒に歩くという、プチ地獄を味合いたくないからだ。それに朝の学校は静かで、時折雑音がする、読書にうってつけの空間に仕上がっている。
 よって、夏休み明け最初の登校日はいつも通り、朝早く登校し、先生も数人しかいない学校を静かに教室へ向かい歩いていた。
 どこからか扉の開く音がした。おそらく、まだ生徒は来ていないので、早く来た先生が教師室を開けたのだろう。廊下の突き当たりを曲がった先に幾つか部屋があり、その先の階段を使って教室のある上の階に行く。
 その突き当たりを曲がる瞬間目線の先に、部屋に入る銀色の髪の毛の女生徒が見えた。「え、だれ」そんな生徒はこの学校にはいない。気になる、しかし、部屋に入ってしまった、通り過ぎる時に扉の隙間から見えないだろうか。そんな邪推をしながらペースは変えずに歩く。
 近づくにつれ、少しばかり話し声が聞こえる。
「親御さんには、この書類とこの書類に目を通して、サインとハンコお願いします。で、エリさんは、、、」
通り過ぎる瞬間、閉まりきらなかった扉の隙間から長い銀色の髪が見えた、それに名前がエリ、という情報は手に入れた。さっき目の端で捉えた女生徒の姿は見間違いではなかったようだ。
 まあ、確かにこんな地方の学校に海外から転校生なんてまずあり得ないし、銀髪というのも目立つだろうに、意外に知らないものだな。

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