soar×サイボウズ式「自分たちらしい編集部」をどうつくる? イベントに参加して感じたこと #サイボウズ式とsoar
(今回のnoteは、1月28日に開催されたイベントレポートです。)
" 社会的マイノリティ"にスポットライトを当て、人の可能性を紹介するメディア「soar」と、"新しい価値を生み出すチームのメディア"として働き方などをテーマに情報を発信するオウンドメディア「サイボウズ式」によるイベント・「自分たちらしい編集部」をどうつくる? が、1月28日(月)に開催されました。
イベントを企画した大島悠さんはサイボウズ式第2編集部(サ式)のメンバー。今回のイベント運営は、soar編集部と、ぼくも参加しているサ式メンバーが中心になって行われました。
当日の様子はTogetter(トゥギャッター)にもまとまっています。
ただ、せっかくなのでイベントで印象に残っている部分を中心に、noteを書いてみたくなりました。
「メディア運営で、編集部をチームとしてうまくまとめたい」
「自分たちらしいメディアにするためにはどうしたらいいかわからない」
そういった課題や悩みがある人にとって、何かを考えるきっかけになればいいなと思います。
イベントの流れ
イベントは、soarとサイボウズ式の編集部メンバーによる対談と、編集長による対談という、大きく2つのパートで構成されていました。
編集部のメンバーが感じている「自分たちらしいメディア」の特徴を明らかにして、編集長たちがその要因や仕組みを明らかにする…という趣向です。
対談の参加者は以下のとおり。
(1)編集部メンバーの対談パート
soar アヤカ マツモトさん
サイボウズ式 あかし ゆかさん
ファシリテーター 木村 和博さん(soar)
(2)編集長の対談パート
soar 工藤 瑞穂さん
(soar理事) 鈴木 悠平さん
サイボウズ式 藤村 能光さん
ファシリテーター 大島 悠さん(サ式)
2つの編集部に共通するのは、言葉にするのを怖がらない雰囲気
【(1)編集部メンバーの対談パート】で印象的だったのは、両方の編集部で「想いを言葉にする」ということを大切に、丁寧に行っているということ。
たとえば、soar編集部ではメンバーが毎日、近況や考えていることなどを共有する「チェックイン」と呼ばれる習慣があるそうです。
チェックインの場では、「動物園に行って癒やされた」という何気ない話もあれば、困っていることやしんどいことなど「自分の弱い部分」を話すこともあるようです。そういった「予定していたけど、できなさそう」という報告に対しては、「教えてくれてありがとう」と受け止めてもらえる雰囲気ができているそうです。
一方のサイボウズ式でも、オンラインツールkintoneを使った「想いを企画にする仕組み」がある、と明石さんは話します。雑談のように始まった企画の種を、何度も話し合いながら記事の企画に仕上げていきます。
(「仕組み」についての詳しい内容はこちら)
どちらの編集部にも通じる話だなと感じたのは、発言がしやすい環境をつくれている点。メンバーが感じたことを言葉にするという習慣を重ねることが、編集部としての「らしさ」を引き出すきっかけになっている印象でした。
編集長が見守り続ける編集メンバーの成長
【(2)編集長の対談パート】で印象に残ったのは、編集部メンバーの成長を見守るあたたかさです。
とくに、メンバーの成長を見守る姿勢については、下記のツイートが上手にまとめてくれています。
「発言がしやすい環境」を整え、編集部のメンバーが自分の言葉で話せるようになるのを待つ。
すると、メンバーらしさと、発言しやすい環境(=メディアとしての場)が、ちょうどいいバランスで混ざりあった企画や文章が発信できるようになる。
わかりやすくまとめると、環境を整え、編集者が適応すると、メディアらしい言葉が生まれる。
そういうことかなと思います。
メディアらしい言葉は、おそらくマニュアル化して覚えさせたり、レールを引いてトレースさせるものでは、うまく「言葉」にならないのでしょう。
ぼくは、自分で文章を書くことも似たところがあると思ってます。自分の内面から言葉を引っ張り出してこないと、自分らしいアイデアや伝えたいことになりません。誰かが言っている「それらしい言葉」をポンと置いてみても、なんだかしっくりこないのです。
そういうことと同じで、メディアとしての「らしさ」が生まれるためには、編集部のメンバーひとりひとりが、自分たちらしい言葉にできることが必要なのでしょう。
ちなみに、マツモトさんとあかしさんに聞いたところ、半年から1年といった期間を経て、ようやくメディアとしての文脈を理解して行動できるようになったと話してくれました。
そういう場を整えること、「チェックイン」や「オンラインでの企画法」といった仕組みを作って成長を見守ることが、編集長の大切な仕事だと感じました。
そして、メディアらしい言葉である記事が評価され、多くの読者に届いたとき、「何がよかったのか」を振り返ることが、自分たちらしさをより強くするために大切なのだと思います。
藤村さん:一つ目は「この切り口ってサイボウズ式としてどうなの?」というコミュニケーションを欠かさないこと。二つ目は反響の良い記事を出して、「これでよかったんだね」と対話すること。その蓄積が今の「らしさ」につながっていると思う。
https://twitter.com/soar_world/status/1089848779933507584
そのメディアらしさは作るのではなく「なる」もの
soarというメディアは、編集長の工藤さんの原体験が出発点でした。
Q:「自分たちらしさ」が生まれた!と実感できたのはいつ頃ですか?
工藤:soarのミッションは自分の原体験と深く紐づいている。今もそれは同じ。採用の時点でその人の想い、“魂の叫び”を聞い、そのあり方にsoarらしさを感じるのかを大切にしている。
https://twitter.com/soar_world/status/1089848217565417472
そこから、徐々に編集部としてのかたちを整えていくことで、今に引き継がれているのが「チェックイン」などの仕組みだったりします。
鈴木:最初は工藤の“ひとり編集部”だったが少しずつ編集ポリシーを言語化していった。取材のときの立ち振る舞いから話を聞く姿勢まで。メンバーでワークショップをして、共通とするキーワードを探す事もあります。そうやって立ち返る場所としてポリシーをつくっている
https://twitter.com/soar_world/status/1089850680620150786
その積み重ねが、編集部のメンバーであるマツモトさんの「思い」を引き出すことにつながります。
この流れが、とても素敵だなと思いました。
工藤さんは、その自分たちらしい言葉について「ギフト」という表現を使っていて、その価値に気づいてもらうことこそがメディアの価値でもあるのだなと思いました。
「コミュニケーションは一つ一つの言葉がギフト。なんであなたに書いてもらいたいのか、あなたを取材したいのか。伝える言葉の一つ一つがギフト」
「自分たちらしい編集部」に大切なこと
そして、イベントに参加してくれたみなさんのコメントが、当日の空気をとても上手に表していると思いました。
ぼくも、なんだかとてもいい「おみやげ」をもらって帰った気分でした。
あと、実はイベントについて書いた第2編集部のnoteが、もう2つあります。
ひとつは、登壇した本人であるサイボウズ式編集長の藤村さんが書いたnote。もうひとつは、最近第2編集部へ参加したかわはらさんのnote。
どちらも、ぼくのnoteとはまた違う部分を、違う視点から掘り下げていて、読み比べてみるといろんな席に座ってイベントを見た気分を味わえるような、不思議なおもしろさがあります。
第2編集部では、こうした「いいおみやげ」があるイベントをこれからも開催していきます。なので、また遊びにきてもらえるとうれしいです。
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