【アート】【旅】大塚美術館-レプリカから広がる感動の美術歴史探訪
旅とは、知らない世界に触れ、
心に残る出会いが待っている冒険。
今回は、徳島県鳴門市に広がる美術の楽園、
「大塚美術館」への訪れをお伝えします。
この美術館は、その特異性と壮大な価値から、
想像以上に私の心を豊かにする場所だったのです。
大塚美術館は私の中で、ずっと気になっていた美術館でした。
美術館と呼んでよいのでしょうか?
レプリカのみが展示されているのです。
ここで展示されている作品は
古代壁画から世界26か国190余りの美術館が所蔵する現代絵画まで
原寸大で1000点以上!1000点以上ですよ!
レプリカは陶板で再現されています。
大塚オーミ陶業株式会社の特殊技術によって、
陶器の大きな板に原画に忠実な
色彩と大きさで作品が再現。
陶器なので、色あせることもないですし、
油絵のように割れたりしないのです。
歴史的にもとても貴重な記録となるわけです。
美術館内には
「環境展示」「系統展示」「テーマ展示」
といった
多彩な展示が広がっています。
古代遺跡や教会などの壁画をそのまま再現、
西洋美術の変遷を感じられるように展示されていたり、
普遍的なテーマに焦点を当てた作品が集められていたり。
その幅広い展示内容に、私はかなり感動しました。
絵画の額縁にも注目です。
莫大かつ時を超えた展示なので、
こうやって見ると楽しいと思ったことを。
美術史の勉強に最適
古代から現代までの美術歴史を学ぶとき
教科書で絵をみることはあるけれど、
サイズ感がわからなかったり。
またどの作家がどの時代から影響を受けたのか、
など少々わかりにくいもの。
ここでは、全てが揃っているので
過去の芸術家や作品に影響を受けたという作品も
ちょっと歩けばすぐに見ることができます。
例えば、クリムトは中世のキリスト画の金色に大きく影響を受けました。
その作品がこちら、と両方を見ることができるのです。
オリジナル作品ですと
影響を与えたキリスト画の作品は
パリルーブルにあり、
クリムトの作品はウイーンにあるので、
同時に見ることはできません。
こんな空間を超える美術鑑賞もできてしまうのです。
アーティスト作品をすべてみることができる
大塚美術館B1には
「7つのヒマワリ」という展示があり、
なんとゴッホのヒマワリ画を
7つ同時に見ることができます。
現在オリジナルのヒマワリ画は、
ドイツ、イギリス、日本、アメリカ、オランダ、、、、、
また7つのうち1つは、実は芦屋にあったそう。
ところが1945年に戦争で
焼失してしまったといわれています。
それがレプリカとして再現。
なんて贅沢な空間なのでしょう。
かなりゴッホは見ているつもりでしたが、
私は「芦屋で燃えてしまったヒマワリ画」その存在さえ知りませんでした。
同様にフェルメールも
「フェルメールギャラリー」として展示され
世界中に散らばった作品を一度に
観ることができます。
オリジナル作品の鑑賞がますます困難な時代に
先日もルーブル美術館の「モナリザ」に
環境保護団体がスープを投げるなど、
美術館テロと呼んでしまいたくなるような事件が続いています。
今後セキュリティも厳しくなるでしょうし、
かつてモナリザやミロのビーナスなど、
身近で見られた作品も柵で囲まれ、
なかなか近くで鑑賞できなくなってきました。
でも、大塚美術館では、すぐ目の前で鑑賞できます
しかも作品に触れます。
大塚美術館に環境展示としてあった、
スクロヴェーニ礼拝堂も、
実際は壁の状況があまりよくなく、
我々見学者の体温だけでも影響を受けてしまうため
見学には厳しい規制がかかっていると聞きました。
レオナルドダヴィンチの「最後の晩餐」も同様です。
保護を目的に規制がかけられ、
そう簡単に実物を見学することも難しくなっている中、
レプリカであれ作品を身近に鑑賞できるのは
素晴らしい体験だと感じました。
しかも、修復前と修復後の両方を一度に見ることができるんですよ。
色の違いや、輪郭の様子など。
修復という作業がいかに大変か、
オリジナル作品の保存活動がいかに大切かも
その場で感じることもできます。
これは本で学ぶこととは違う感覚です。
レプリカであるのですが、充分楽しめる美術館。
結局、私は5時間滞在し、
美術の深い歴史に触れることができました。
でも、まだまだ見たりない、と感じた場所です。
大塚美術館はただの「レプリカ美術館」ではなく、
確実に大切な役割を果たしている美術館。
オリジナルとは一線を画す美しさが、
私たちの心にしっかりと寄り添っているのです。
時と場所を超えて、歴史を感じ、
心に響く美の旅。
大塚美術館は、その一端を優雅に紡ぎだしています。
フェリシモ「ミュージアム部」さんが
ステキな紹介をされていました。
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