「初老ジャパン」につっこめる幸せ~日本の平均寿命と平和を考える
パリ五輪 日本馬術・総合馬術団体「初老ジャパン」の平均年齢は41.5歳!
2024年パリ五輪では、日本は45個のメダルを獲得しました。海外大会としては過去最多のメダル数だそうです。
10代、20代前半の選手が台頭する中、平均年齢は41.5歳(38歳・39歳・41歳・48歳の4名)の代表選手で挑んだ馬術・総合馬術団体に注目した方も多かったのではないでしょうか?
結果は日本馬術92年ぶりの快挙となり、みごと銅メダルを獲得しました!おめでとうございます\(^o^)/
しかし、ここで気になることが。
そう、チームの愛称「初老ジャパン」。
なんと、選手たち自らが命名したそうです。このインパクトあるネーミングで、馬術への注目度を高めたいという狙いもあったとか。
狙い的中ですね。さすが、年の功。
しかし、50代の私から見れば、彼らはまだまだ若々しく「初老」という言葉にそぐわない気がします。
そもそも、「初老」って何なのでしょうね。
気になって、少し調べてみることにしました。
「初老」とは
つまり、奈良時代では 40歳=初老
40歳は長寿として祝われる年齢であったということ。
では、この頃の日本人の平均寿命はどれくらいだったのか。
もちろん当時の正確なデータがあるわけはなく、特権階級の記録などから推測するほかないのですが、おおむね28歳~33歳ではなかったかということです。(『寿命図鑑』いろは出版/2016年より)
驚くべき数字です。それなら、40歳は確かに長寿であり、祝うべき節目たりえますね。
「初老ジャパン」のネーミングも、平均年齢41.5歳という数字だけ見れば的外れではありませんでした。
平均寿命から考える「初老」
しかし、「初老」を「長寿を祝う節目」と考えた場合はどうでしょうか。
2022年の日本人の平均寿命は、男性81.05歳、女性87.09歳。
(厚生労働省「簡易生命表 令和4年」による)
40歳=初老 は明らかに実情にそぐわないですよね。
現代なら、長寿として扱われるのは少なくとも70代後半からではないでしょうか。
でも、70代後半では「初老」という時期を明らかに過ぎているように感じます。つまり、私たちは「初老」という言葉を長寿と結びつけて考えているわけではないのです。
「初老」は「老い支度」を始めるころ?
国語辞典では、「初老」を「肉体的な盛りを過ぎ、そろそろからだの各部に気を付ける必要が感じられるおおよその時期」と説明しています。(『新明解国語辞典』第六版より)
このあたりが、私たちが思う「初老」のニュアンスに最も近いのではないでしょうか。今の自分がまさにその渦中。つまり、50代半ばですねぇ。
今までにない肉体・気力の衰えを感じだし、やがて来る本格的な老いに対して備えを始めるころ。
ちなみに、NHK放送文化研究所が10代から70代の724名に、「初老」は何歳からだと思うかアンケートをとったところ、平均回答は57.0歳でした。(https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/137.html 出典)
なんだか、すごく納得。
やっぱり、現代において40代前半は「初老」というには早すぎます。
「初老ジャパン」につっこめるのは平和の証
しかし、40歳=初老という通念は、わりと最近まで存在していたようです。
日本人の平均寿命は、明治時代で44歳、大正時代で43歳、昭和20年ではなんと31歳だったといいます(『寿命図鑑』いろは出版/2016年より)。
明治・大正生まれで100歳近くまで生きた方を知っているので、そんなに平均寿命が短かったとは思い至りませんでした。
これはもちろん、戦争の影響ですね。
もちろん、長生きされた方はたくさんいます。
それでも、子どもの死亡率の高さや、若くして戦死した方の数で、平均寿命がこのような数字になってくる。
戦争など不穏な空気につつまれた時代背景だったら、命のはかなさゆえに「40歳は初老」という感覚であっても不思議ではありません。
現在でも、戦争が起きていたり政情不安定な国では
「40歳=初老」
が現実味をもって感じられるのではないでしょうか。
そう思うと、「初老ジャパン」に「40代は初老じゃないよ!」と笑ってつっこめるのは、なんて幸せなことなんだろう。
太平洋戦争以後、日本が戦争をせず平和を守ってきた証しですね。
「40歳=初老」が常識の世の中に逆戻りしませんように。
終戦の日を前にして、平和を改めて祈ろうと思います。