クイーンSの回顧
札幌は開催2週目。土曜は先週同様超高速馬場でしたが、土曜の夜から雨が降って日曜は重馬場スタート。土曜よりもかなり時計がかかるようになりましたが、それでも速めの時計が出る馬場での開催でした。脚質的には中団からの差し馬が圧倒的に有利で、先行馬が不利。特に逃げ馬が苦しく、逃げ馬が勝ったのは日曜の4Rのみと差し馬が有利な馬場でした。
クイーンS
勝ちタイム 1分47秒4 (良)
12.3-11.2-12.2-12.4-12.2-11.8-11.6-11.8-11.9
前半1000M 1分00秒3 上り4ハロン 47秒3 3ハロン 35秒3
走破タイムランク E
レース短評 前半1000Mが1分00秒3は重賞にしてはやや遅い流れ。残り800Mからのロングスパート勝負のレースになった。長くいい脚が求められるレースで1~5着までは接戦になったが、51キロの3歳馬が鋭く伸びて1,2着。なかでも巧い立ち回りを見せたコガネノソラが2着馬の追撃を凌いで押し切ったレース。
レースが終わっての感想 能力差よりも斤量差が大きかったなあという印象。例年だと8月に行われることが多いので、52キロの3歳牝馬だが、今年は7月だったので51キロ。加えて、実績もある程度あったのでこの1,2着はある意味必然だったかな。ただ、全体的なタイムが遅いので秋華賞につながるかどうかは微妙かな。少なくとも古馬勢で今後牡馬混合で活躍できそうな馬はいなかったな、という印象でした。
勝ったコガネノソラ『スタートでどう乗るか決めていたんですが、まずまずスタートを出ることが出来たし、51キロなので多少外を回っても大丈夫というのがありました。落ち着いて乗って、どこかで動ける位置に行こうと思っていたし、五分のスタートが切れましたからね。手応えもあったし、攻め馬でずっと乗ってこの馬のことは把握していたので自信を持って仕掛けていきました。攻め馬でもいい脚を使えていたので自信はありましたよ。凄くバネがあっていい馬です』と丹内騎手。道中は中団の外目を追走していましたが、馬群が縦長になっていたのでそこまで外を回らずにすんだのは大きかったかな。4コーナーで動いて残り200Mからエンジンがかかって一気に伸びて差し切りました。1800Mの距離が合うのと、ゴールドシップ産駒で平坦、洋芝コースが合っていたのも噛み合いましたが、しっかり勝ちにいって勝ち切ったのは大きいかな。今後も平坦、1800Mで期待だけど、秋華賞TRは紫苑Sの中山とローズSの中京はアップダウンが大きいコースなので合わない可能性もあるかな。むしろ秋華賞のある京都の方が平坦で面白いかもしれません。買い時、切り時を見極めて選択したいですね。
2着のボンドガール『惜しかったね。ただ、思っていたよりも我慢は利いたし、ためが利いてじっくり乗れたよ。最後もスペースがあって、いい伸びを見せてくれたんだけど、あと2歩だったかな。でも、こういう競馬ができたのは大きいし、距離にもめどが立って収穫はあったよ』と武豊騎手。道中は後方を進んで、3~4コーナーで勝ち馬の後ろについて直線で一気に伸びましたが2着まで。今回は後方からのレースになったけど、切れを生かせる形なら今後も重賞で期待できそうです。個人的にはマイルの方が良いと思いますが、ある程度距離の融通が利きそうなのは収穫になったと思います。今後もG3レベルなら期待ですね。
3着のアルジーヌ『小倉で勝たせてもらった時よりも返し馬からバランス良く走れていたので、遠慮せずにテンに出して勝てるポジションを取りました。それでも、バランスよく、いいリズムで走れていましたよ。欲を言えば、もっと平均的に流れてくれたらこの馬のストライドが生きたんですが、前半と後半で緩急があった分、3角で置かれてしまい、それが響きました。それでも、昇級戦、重賞でこれだけやれて、これからが楽しみです』と藤岡騎手。道中は4,5番手の内目を進んで直線ではインの3番手にいましたが前に行く馬に対して劣勢。そのまま伸びないかと思いましたが、残り100Mを切ってしぶとく伸びて3着に浮上しました。ストライドが大きい分、持続的に流れる方が向くようで、いわゆるスローからのヨーイドンが向かないタイプなのでしょう。じわじわ伸びるタイプなので小倉や中京といった長くいい脚を使えるコースの方が合いそうですね。内ラチ沿いを回ってこれたので立ち回りの巧さもあるので、今後もどこかで穴を開けそうです。
4着のドゥアイズ『状態は凄く良かったです。インがいい馬場で外枠からどうリカバーするか考えていたんですが、思ったよりも勝ち馬の手応えが良かったのでそれについていく形を取りました。1~2角でインをロスなく回れたので3~4角では外を回っても早めに仕掛けていきました。ただ、そこで逆手前になってしまったのがもったいなかったです。それえも差のないところまで来てくれました』と鮫島駿騎手。道中は中団やや後方の外目を回って、3~4コーナーでも外を回って直線では大外からよく伸びました。円形に近い札幌1800Mで外々を回らされた不利は大きいなかで差のないところまで迫っているので力がありますね。今後もG3レベルでは力上位だと思うのであとは展開が向けばというところでしょうか。
5着のコンクシェル『望来(岩田望騎手)から「スタートは速くない」と聞いていた通り、あまり速くはなかったですね。それでも、何とかハナに行くことが出来て、この馬の競馬ができました。もう少しでした』と横山武騎手。押してハナに立ったのでHペースかと思っていましたが、前半1000Mは1分00秒3とややスロー。いいペース配分で進んで最後までしぶとく粘っていました。この馬は56キロで、1,2着馬は51キロだったので斤量差が無ければもう少し際どい勝負になっていたでしょう。今後もこういう展開を作って、展開と馬場に恵まれればですね。
7着のイフェイオン『ゲートの中が激しく、興奮していてうまく出せませんでした。それでも、勝ち馬の後ろでリズム良く運べたんですが、ハミを噛み過ぎていましたね。ただ、4角で「オッ!」と思うところがあったし、休み明けを使ってガス抜きが出来れば、次が楽しみです」と西村騎手。スタートで出遅れて後方から。3~4コーナーでは勝ち馬の外にいて、一緒に上がってくるかと思いましたが伸びず。この辺りは出遅れた影響が出たかな。理想はもう少し前にいて脚を使いたかったのだと思います。この馬の上り3ハロンは34秒9で勝ち馬が34秒8なので勝ち馬の前にいたら面白かったかもしれません。ただ、この馬は1600Mの方が向いていると思うので、マイル路線のOP、リステッドの方が良さそうに思います。
10着のウンブライル『馬の状態は良かったと思います。ただ、早く反応できるタイプではないので、タイトなコースは合いませんね。追ってスッとペースアップできないので、十分なスペースが必要です。今日はタイトなコースでスピードアップできませんでした。広くてワンターンのコースの方があっていると思いますよ』とルメール騎手。道中は後方を進んで、3~4コーナーでルメール騎手の手が激しく動いていましたが伸びず。この馬らしい切れがなかったので、コメント通り広いコースで直線が長いコースの方が良いのでしょう。今回は参考外と考えたいです。今後も直線が短い小回りコースでは力を出せないと見ていいかな。買い時を判断したいですね。