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手を伸ばしている若い男性が視線に入った。 スーパーのペットボトル・コーナー。 視線はその二段目。 見ると、セール中とある。 彼は悔しそうに顔を歪めた。 車椅子だ。 腰を浮かし、支える手が震えるほど再び伸ばす。 届くことは無さそうだ。 彼はぐったりと車椅子に身体を預けた。 「これですか?」 声をかけた。 セール品のお茶、五百CC。 彼は驚いたように目をパチクリさせる。 「あれ、こっちでしたか?」 隣のペットボトルに手を伸ばす。 「いえ!・・・お茶の方で