ヘッドショット
ヘッドショットとは?
ヘッドショット(以下「ヘッド」と略します)とは、コンポジットの中で一番サイズが大きなバストアップの写真。同じものが事務所サイトのモデルプロフィール写真にも使われることが多いです。
この1枚は、そのモデルさんのアイコンとして使われるので、宣材写真の中でも最も重要な1枚です。
ですので事務所としてもヘッドには一番気を使いますし、力が入ります。
良いヘッドが撮れれば書類で通るようになり、人生が変わります。
書類があまり通らなかったりすると、「ヘッドを変えよう」「ヘッド撮ってきて!」とマネージャーさんに言われます。
しかし、何回かヘッド用の撮影をしたけど、「今回もないね」と、なかなかマネージャーさんにOKがもらえない、ということも良く聞きます。
モデルさん達と話をしていると「ヘッドヘッド」とつぶやいている人が多いです笑
それだけ良いヘッドを撮るのは悩ましく大変なことです。
カメラマンやヘアメイクの役割
宣材を撮影している立場からすると、自分が撮らせていただいたカットをヘッドに使ってもらえると嬉しいものです。しかしヘッドに限らず宣材写真の中でのカメラマンの役割は限定されたものになります。
カメラマンが良ければ使える宣材が撮れるかというと、そうでもありません。
カメラマンがコントロールできるのは、
・光の状態、背景に何を入れるか?、写真全体のテイスト
・そのモデルさんの顔立ちやスタイルが引き立つ構図や角度など
・モデルさんが表現に集中できるような雰囲気作り
などです。それらは写真のクオリティを決めるものなので、大事です。がそれだけで充分条件ということにはなりません。むしろそれらは最低の条件と言えます。
しかし逆に言えば、カメラマンがダメな場合は使える宣材は手に入りません。これは宣材に必要な最低の条件も満たせないからです。
ヘアメイクについても同じです。ヘアメイクはモデルさんの顔立ちや表情を引き立てるものであって、ヘアメイクそのものが目立ってはNGです。髪型が勝ってしまうとサロンのヘアカタ写真になってしまいます。
できるメイクさんのメイクはナチュラルでその人の顔立ちにフィットしているのでメイクそのものが目立つ感じはありませんが、実はしっかりメイクしていることが多いです。ナチュラルメイクは、技術やセンスがかなり必要な難易度が高いメイクです。
上の図は宣材写真に写っているモノを5つに分類したものです。
オレンジの部分はモデルさんに関わる要素。青い部分は撮影に参加するメンバ各自が関わる要素になります。カメラマンが頑張っても他の要素のレベルが低ければマネージャーさんに選ばれませんし、逆にカメラマンがヘタレな場合、モデルさんの表現がいくら素晴らしくても使えない写真になるでしょう。
このように、ヘッドに限らず宣材写真におけるカメラマンのクオリティ、ヘアメイクのクオリティは高度なプロフェッショナルのレベルを求められます。が、それは繰り返しになりますが「最低条件」です。
カメラマンやヘアメイクのクオリティが良くても、その時に撮った数百枚が全部「オシャカ」になることも普通にあります。
ヘッドに写し込みたいもの
ヘッドで伝えるべき最も大切なものは、そのモデルさんの雰囲気というかキャラというか、その人独特の個性というか、そういうものだと僕は考えています。
そのモデルさんがどんな顔立ちなのかをヘッドで伝えるのは当然です。更にその先の、そのモデルさん特有の良さ、特徴、雰囲気が写っている写真をマネージャーさんは求めます。
なぜかと言えばエントリーしてくるモデルさん達はみなさんプロのモデルであり、顔立ちが整っていて美しいことは当たり前のことだからです。その先の「何か」が写真から感じられなければ選考に残れないでしょう。
ちょっとした顔の角度や口の開き方のビミョウな違いや、気持ちのちょっとした変化でも表情は変わります。
数百枚数千枚の中からの1枚のセレクトこそがマネージャーさんの重要な仕事になると思います。
モデルさんにとっても、いつものお仕事の撮影ではクライアントさんからイメージの指示が来て、それを表現する訳ですが、宣材の場合は自分自身を見せなければいけないため、撮られ方もお仕事とは違います。
「宣材の撮影は難しい。緊張する。」と言うモデルさんが多いです。
ということで宣材の中でもヘッドの撮影は特別に大変ですが、それだけに僕が撮影した写真がヘッドに選ばれると嬉しいものです。上に書いたとおり自分の役割はかなり限定的ではありますが・・・
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▽宣材撮影