著作権法改正 令和3年1月1日~は海賊版ダウンロード規制が拡大されます
こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。
漫画などの海賊版対策を強化する改正著作権法が6月に成立した。インターネット上に無断で公開された全著作物を対象に、違法だと知りながらダウンロードする行為を規制し、悪質な場合は刑事罰も科す。規制の対象が拡大する一方、ネット利用者が過度に萎縮しないよう事業者側は自社サービスが適法であることを示すなどの措置が求められる。
とのことです。
今回は、来年1月1日から施行されるダウンロード違法化の条文(改正著作権法第30条第1項第4号)の規定を検討します。
新設される規定について
新設される規定は以下の通りですが、構成がやや複雑です。
改正著作権法第30条第1項第4号
著作権(第二十八条に規定する権利(翻訳以外の方法により創作された二次的著作物に係るものに限る。)を除く。以下この号において同じ。)を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の複製(録音及び録画を除く。以下この号において同じ。)(当該著作権に係る著作物のうち当該複製がされる部分の占める割合、当該部分が自動公衆送信される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものを除く。以下この号及び次項において「特定侵害複製」という。)を、特定侵害複製であることを知りながら行う場合(当該著作物の種類及び用途並びに当該特定侵害複製の態様に照らし著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く。)
述語等を省いて要約すると、「著作権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の複製を、特定侵害複製であることを知りながら行う場合」が規制の対象です。
特定侵害複製という耳なじみのない言葉が入っていますが、要するに「軽微でない侵害複製」のことです。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r02_hokaisei/pdf/92359601_02.pdf より
また、従来、違法ダウンロードの規制対象は音楽と映像のみ(現行法同条項第3号)でしたが、改正法第4号により漫画や書籍、新聞、論文、コンピュータープログラムなどが包括的に規制対象となります。
念頭にあるのは、「漫画村」などの海賊版サイトの規制で、来年1月からは海賊版サイトから漫画などをダウンロードする行為も規制対象となります(悪質な場合は刑事罰の対象ともなります)。
起訴状によると、安達被告ら3人と共謀し、17年5月11、29両日に著作権者の許諾を得ずに漫画「ワンピース」と「キングダム」の画像データをインターネットを利用する不特定多数が見られるように公開し、著作権を侵害したとされる。
なお、「国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきもの」もかっこ書きで対象となっているので、サーバーが国外にあっても、ダウンロードした人が同号違反となる結論に変わりはありません。
例外規定「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」
ダウンロード違法化は多くの一般ユーザーに影響しますし、漫画村等の摘発例を見ていると、法規制の対象は幅広い年齢層(小中学生なども含む)に及ぶことが考えられます。
もちろん、海賊版対策は重要なのですが、他方で、国民による正当な情報収集が妨げられないよう配慮する必要もあります。
そこで、「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」には規制対象から除外されるという例外規定が設けられました。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r02_hokaisei/pdf/92359601_02.pdf より
新法施行後はダウンロードする側も民事上、刑事上の責任を負う可能性が出てくるため、注意が必要です。
【参考】令和2年通常国会 著作権法改正について(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r02_hokaisei/
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