カンブリア宮殿「従業員600人の解雇は「英断」だったのか? 新型コロナに翻弄されたタクシー会社を独占密着!」
こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。
昨日、カンブリア宮殿で「従業員600人の解雇は「英断」だったのか? 新型コロナに翻弄されたタクシー会社を独占密着!」が放送されました。
このブログでも前に記事を書きました。
私がこの番組で確認したかったのは以下の点です。
〇 結局、解雇だったのか、退職勧奨だったのか?
〇 元従業員は失業保険を受け取れたのか?
〇 その他、当該判断に至る経営的状況
〇 結局、解雇だったのか、退職勧奨だったのか?
そもそも、最初に公開されたロイヤルリムジンの「お知らせ」には、解雇という文字は使われておらず、明言されているのは一旦事業を休止するということだけでした。
その後、解雇ではなく一部従業員との紛争の中で解雇を撤回したという報道もあり、事実関係がよく分からない部分もありました。
今回のカンブリア宮殿で分かったことは
1 最初の発表で、社長は「解雇します」と明らかに言っていた
2 予告手当は支払われていなかった(従業員の発言から)
また、社長が「解雇という意図で考えていなかった」という報道もありました。
「解雇という意図で考えていなかった。解雇はしていない」として、10人全員の解雇撤回が伝えられたということです。
まとめると、解雇という言葉を使いながら、従業員のほとんどは退職勧奨によって退職しており、そのため解雇予告手当は支払っていなかった、ということのようです。
この点は、コンプライアンス上見逃せない問題です。
解雇するという言葉を使っておきながら、退職勧奨を迫っており、整理解雇の要件が満たされていない可能性もある中、ほとんどの従業員に対し予告手当の支払いをせずに済ませているからです。
〇 元従業員は失業保険を受け取れたのか?
受け取れたようです。
ハローワークで「ロイヤルリムジンの退職者ですが失業手当は受け取れるか」確認し、問題なく受け取れるという回答を得た従業員の様子が放送されていました。
〇 その他、当該判断に至る経営的状況
600人の従業員全員に休業手当を払うとなると月当たり1億円のキャッシュが必要となるところ、会社のキャッシュは3000万円程度しかなく、雇用調整助成金を申請しつつ休業手当を支払うということが不可能であったという状況が説明されていました。
キャッシュ以外の資産は換金性が乏しいでしょうし、新たな借入れをするにも審査が数か月かかるということであればやむをえない気もしますが、資産の内訳や従来取引のある銀行に枠はなかったのか等、細かい突っ込みはありませんでした。
オリンピック需要を控えて新たな車両購入などの投資をかなりしていたらしく、その点で言うと最悪のタイミングでコロナショックの直撃を受けてしまったようにも思えます。
まとめ
労働契約の終了に関する各種ルールは労働者の生きる権利につながるものなので最大限重視されるべきものですが、経営者はキャッシュが尽きれば一発退場のサバイバル状態に身を置いており、一瞬の判断の遅れが生死を分けます。
一部の従業員とは未だ係争中の案件であり、この一件についての総括的評価ができるタイミングではありませんが、労働法実務、経営判断について学ぶところの多い事例だと思います。
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