無料法律相談が顧客側にとっても有害な理由は?
こんにちは。スマート法律相談の弁護士の勝部です。
本日は、無料法律相談について書きたいと思います。
昔は少なかった、無料法律相談
私が弁護士になった2007年ころ、普通の法律事務所が無料法律相談をやっているケースはあまりありませんでした。
もちろん、その当時(やそれ以前)も、無料で法律相談というのも、なかったわけではないのですが。。。例えば、市役所の市民法律相談とか、無料だった気がします。
今は「初回相談無料」とか「〇〇の相談に限り30分無料」というようなうたい文句の法律事務所がかなり増えてきたと思います。
これだけ増えたのはここ10年くらいの傾向ではないでしょうか。
無料法律相談が増えた要因
私は、無料法律相談が増えたのは、以下のような経緯にあると分析しています。
【無料法律相談が広がった経緯】
1 債務整理に特化した法律事務所が、「相談は無料」ということを売りに広告展開した
2 法テラスが無料法律相談を開始した
3 弁護士ドットコムをはじめとするポータルサイトが「初回相談無料」という検索タグでの差別化を推奨した
実際、私も最初に独立したときに、複数のポータルサイトの営業担当から「初回相談を無料にした方が集客できますよ」と言われました。
最近では、とりあえず無料で集客というのが一般的になりつつあるのかもしれません。
しかし、私は、基本的に無料相談の実施は愚策だと思っていますし、実際テストで実施して、愚策であったことを再認識し、それ以降はやっていません。
あ、ただ、TVCMなどを展開している法律事務所が無料相談をするのは戦略としてアリだと思います。
無料法律相談をするのであれば、マーケティング、広告、ブランディングなどで、受任率を高くするような施策とセットでなければなりません。
例えば、「債務整理といえば法律事務所〇〇」という広告を打ちまくって、事務所のターゲティングとマッチした層にしっかりブランディングができているという前提であれば、相談に来た方のほとんどは依頼意思を持って事務所に行きます。
そうすると高い受任が見込めるので、無料でもよいと思います。
(というよりも、無料の方が分母が上がるので、戦略として合理的です。)
それに対し、ただ漫然と「初回は無料です」という戦略を取ったらどうなるか。
「無料で相談だけして、依頼するかは後で考える」
という顧客が増えるのは自明です。
つまりは、事務所の経営を圧迫するだけの悪手になるということです。
これは、顧客が悪いのではなく、法律事務所の戦略が悪いのだと思います。
ほぼほぼ依頼する気は固まっている状態で無料を呼び込むのはアリですが、無料でとりあえず来てもらって、依頼してもらえるかは運任せ、というのは得策ではないということです。
顧客にとっても無料法律相談がよくない理由
では、法律事務所にとってだけではなく、顧客にとっても無料法律相談がよくない理由は何でしょうか。
それは、単純に
「行動として合理的ではない」
ということに尽きます。
弁護士に法律相談するのはなぜか。
それは、「法的トラブルを解決するため」です。
そのためには、自分のトラブルをより良く解決してくれる弁護士を探す必要がありますが、
無料で法律相談を受け付けていることと、優秀である(=当該トラブルについて知識や経験がある)かどうかは全く相関関係がありませんし、前述のように、広告戦略にはまっているだけということもあります(広告戦略全部が悪いわけではありませんが、顧客にとって悪く作用することもあります)。
それでよい弁護士に出会ったとしても、それは偶然の産物であって、合理的行動の結果とは言えません。
法律相談の再定義
法律相談というアクションは、分析すると、
1 知識や助言を得るための行動としての「法律相談」と、
2 契約する前段階の下見としての「法律相談」の
二つの意味合いがあります。
そして、無料が許容されるのは2の場面でしょう。
弁護士に依頼すると数十万から、時には数百万のコストがトータルでかかります。
その前段階としてどんな弁護士かを確認するのは、いわば物件の下見のようなもので、無料であってしかるべきです。
しかし、1の法律相談は無料にすべきではありません。
弁護士の時間とリソースを奪い、ブランドを棄損します。
弁護士がしっかりブランディングできていないと、顧客が迷走することになり、社会全体にとってマイナスです。
この部分をしっかり再定義したいというのが、スマート法律相談のモチベーションです。
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AIシステムはユーザーが利用した分だけ、賢くなることができます。
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本日もお読み下さり、ありがとうございました。