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習作:知カシラ論
登場人物:タツミ、シラオ、カシラ
タツミ:おはよう、シラオ、今日も天気がいいねえ。
シラオ:おはよう、タツミ、いや、ほんとうにいい天気だ。
カシラ:おはよう、二人とも。秋晴れと言うのかな、気分もすがすがしいよ。
タツミ:ところでシラオは今日はどこに行くんだい?
シラオ:北新横浜さ。野暮用でね。帰りにラーメンでも食べてくるよ。
カシラ:新羽に美味しいラーメン屋があるんだよ。
タツミ:北新横浜とはずいぶん遠いな。まあ気を付けてな。
シラオ:ありがとう、まあ夜時間があれば飲もうか。
カシラ:いいね、ちょうど最近良い居酒屋を見つけたんだ。
果たしてカシラは誰と会話しているのか。そもそもカシラは存在するのだろうか。カシラ自身、自分が空気か透明人間か、中身がまるでない人間に「思えた」のだが、カシラは本当に「思った」のだろうか。タツミとシラオは二人で会話しているように見えるが、カシラも一応話しかけてはいるように見えるのは、カシラ自身だけだろうか。 あなたとわたしはカシラをカシラと認識できるだろうか。誰もいない森で倒れた木の音を聞けるだろうか。誰も見たことのない海底で人魚はアンコウを食べるだろうか。カシラはカシラが好きだろうかそれとも白子のほうが好みだろうかそれともそれともそれともそれともそれとも…