vol.22 声を出すと力が出る?
今日は筋力発揮と発声の関係について書いていきます。砲丸投げ、槍投げの選手で、投げる時に、「ゔぁーーーー!!!!」と叫んでいるのをよく見ます。よく見るというか、室伏選手が叫んでいるイメージがあるので、笑。また、普段の生活でも、物を持つときに、「よいしょ」と言いながら重いものを持つ人もいます。自分はよく言っています。
より大きな力を出すために、声を出すことは、本当に意味があるのか?と思い、少し調べてみました。
参考文献
http://www.jsomt.jp/journal/pdf/065040184.pdf
○実験により分かったシャウト効果
一つ目の実験として、息を止めて力を入れたときの筋発揮と、掛け声と同時の筋発揮を比べました。アイソメトリックで、肘関節の屈曲力で計測しました。(上腕二頭筋の筋力発揮を計測した)結果、止息状態が29.2±2.78kg、掛け声状態が32.9±2.56kgとなり、掛け声をした方が有意に筋発揮が向上したことが分かりました。
また、面白いのが、-500〜0(最初の0.5秒)までは止息、0〜500(後半の0.5秒)は、声を出しての筋発揮になっていて、グラフのように、後半にも関わらず、止息よりも大きな力を出していることが分かります。この実験から、腕の力発揮には、声を出す行為は効果的であることが分かりました。
もう一つの実験は、私生活に近い環境を想定した実験です。下に重い荷物があり、それを持ち上げるときの、筋力発揮について調べたものです。動作は以下の通りです。
この動作中の筋力発揮について、筋電図を用いて評価しました。
上の折れ線グラフでは、横軸は0%が動作が始まる時間、100%が動作が完了する時間を示しています。第一相とかいうものは、ただ100を3分割にしただけのものなので、大きな意味はありません。1〜3にかけて、徐々に数値が下がっているのは、しゃがんだ状態から、直立するまで、1番力が必要なのは、最初の膝が大きく曲がっている状態のときなので、右下がりになります。
N条件は、声を出さない群で、S群は声を出す群としました。上下どちらのグラフを見ても、声を出した方が、筋肉の仕事量が大きくなっていることが分かります。
○どうして筋力発揮が大きくなるのか?
メカニズムについては、論文ではあまり触れられていませんでした。色々な論文を読みましたが、いずれも、精神的な部分が大きいと書かれていました。声を出すことで、興奮状態になることや、リズムを作って、動きを合わせるなどが具体的にありました。また、出す声の違い(あなのか、いなのか、うなのか)によっての筋力発揮の違いや、声の大きさによる筋力発揮の違いも見ている論文がありました。
声の大きさは、あまり筋力発揮に影響がなかったそうですが、発音は、差がでていたようです。
声と力には意外と関係があると知って驚いています笑
○実生活で活かすには
今回のまとめはシンプルです。重いものを持つときは、声を出した方がいいです。筋トレでも、声が出せる環境であれば、声を出した方が、限界まで追い込むことができると思います。ジムや公共施設では、声を出すと迷惑になるので、おすすめしません。
自分は声を出しがちなので、出しすぎてうるさいことのないように注意しながら、効果的に出していこうと思います。
#シャウト #筋力発揮#パフォーマンス#運動生理学
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