日本のエネルギーミックスの意味
少し重い話ではありますが、前回の電力市場開放(特に小売り市場)の投稿の続きで、日本のエネルギー政策について、コロナ禍やWithコロナにおいてより考えるべきと思い、書いてみます。
まず日本はコロナ自粛で色々な産業が止まっていましたが、コロナ禍でも社会インフラのエネルギー(電力・ガス)は安定的に供給されていたかと思います。それ自体は、LNG輸入など日頃から海上や施設のオペレーションを安定した電力・ガス会社皆様の頑張りで成り立っていた、という下記の記事をみて、コロナ自粛時に医療関係者や小売りで従事されていた方へ感謝の話が出ていたのと同様に、こちらの方々も貢献が認知されるべきだと思いました。
では主題のエネルギー政策について、言うまでもなく2011年の東日本大震災と福島県の原発事故は大きな分岐点となりました。その後、確かにFIT(固定価格買取制度)により再生可能エネルギーの普及が一定程度は進んだものの、従前の原子力発電が担っていたベースロード電源の役割は、LNGや石炭火力という化石燃料の発電に転換していきました。で、問題はここからで、資源の少ない日本において今後、特にベースロード電源をどうしていきますか?、です。
ESGや気候変動の観点から、CO2排出の少ないエネルギーへの転換という意味で、欧州などで化石燃料依存の発電からシフトしている、ドイツ・イギリスなどがあります。日本でも今後は洋上風力や地熱発電など、安定的な発電ソースも少しは出てくるでしょうが、火力発電(LNGや石炭など)を大きくとってかわるレベルにはならないでしょう(環境規制等々の理由で)。
ということで、私が思うに、日本のエネルギー技術継承、長期的なノウハウ構築、もしくは日本の強い産業に再び育てるという意味でも、原子力発電(リサイクルを含め)の立ち位置を考えるべきだと思います。古い考え方なのかもしれませんが、原子力(マイクロも含む)という発電は中国やインドなどでも進んでいますが、やはり長年のノウハウがかなり必要な業界であり、国家として戦略的産業の一つであるかと。言わずもがなですが、エネルギーは長期的な視点が必要な、イノベーションも起こりにくい産業であるので、政治的判断も難しいのかもしれません。もちろん福島原発事故のような際は、膨大の費用が掛かるわけで、その際の対策も含めて考えるべきでしょうし、リスクゼロのビジネスはどこもない、という立ち位置から考えるのもありかな、と。
追記的に、最後に一つ。以前不都合な真実のNoteでも、コロナ拡大によりCO2排出が大幅に減少され、気候変動抑制に貢献、という話を紹介しましたが、本当にパリ協定達成を目指すなら、コロナ自粛どころではなく、移動規制を10年程度継続させる必要がある、とのリサーチがあるようで(上記記事にあるやつです)。気候変動抑制を通じて、地球を温暖化から守りたいと真剣に考えている方にも、このエネルギー政策を真剣に考える時が来ていると勝手に思っています。