過去投稿からの進化・変化⑲静かな買収劇
前回動画と投稿で、コロナ禍以後の日本におけるゲームチェンジャーは、という内容で下記のように書き、その一つは所謂コーポレートガバナンス改革であり、資本市場による企業から株主への対応強化が求められると書いておりました。
その中でも以前からアクティビスト投資家のパイオニアとして活躍されていた村上さん率いるシティインデックスイレブンスが、JAG(日本アジアグループ)を去る2021年7月に公開買い付けにて買収成功した、という話です。
ここまでの話ですと、また村上氏関係のアクティビストファンドが頑張ったんでしょ、という話に終わってしまいそうですが、そんなに簡単な話ではないのようです。
私はちゃんと全て追えていないので、少々間違いもあるかと思いますが、まず外資ファンドのバックアップによる、オーナ―兼大株主のMBO(経営陣によるバイアウト)に対するシティインデックスの株式買い付けから始まり、その後MBOは不成立となり、経営陣による様々な買収防衛策を行使されながらも、結果としてシティインデックスによる買収成功へ、という所謂敵対的買収が資本市場を通じて成功となった、ということのようです。
上記英文記事にもあるように、村上氏による敵対的買収は2000年代に大きくメディアに取り上げられ、村上氏も大きく批判を浴び、また実刑判決を受けたわけです。それから10数年後して、敵対的買収という資本市場での動きが珍しくなくなったのか、コロナ禍やオリンピックでそれどころでなかったのか、今回の買収劇は殆どメディアによるニュースにもなりませんでした。
先日の東芝の件を含めて、村上氏を筆頭としたアクティビスト投資家により、日本企業や経営陣に対して、「株主軽視はできんよ」という強いメッセージを送り続けることで、少なからず硬直性のある日本市場も変わってくるのだなと感じるとともに、その後の企業経営におけるコーポレートガバナンス改革もより浸透しやすくなっているのでは、と感じました。