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海運業界の今後
鉄鋼や石油業界のように、日本企業が以前はリードしていた業界であったものの、海運業界も過去数十年で大きな変化があった業界だと思います。
過去投稿は下記リンクをご確認ください。
-鉄鋼業界シリーズ(業界背景、①、②、振り返り投稿、④)
-石油業界シリーズ(石油先物、逆張り、業界シフト、今後の展開、原油と金)
まずモーリシャス沖での日本企業保有の貨物船座礁により重油漏れが発生し、同国の沿岸に多大な環境的影響があったとのこと。早い回復ができるようにお祈り申し上げます。
業界としては、業績好調であったリーマンショック前からの資源需要の高騰に合わせて、海運業界は所謂ドライバルク船を始めとする造船を多く行っていましたが、リーマンショック後に供給・能力過多の状態になり、どのように船の供給量を調整していきながら、需要にあった船の供給体制にするか、また持続的に利益の稼げる体制に持っていくか、が重要視されていました。
上記記事や海運3社のIR資料や株価サイトなどを見ると、以前ドライバルク船を多く所有されていたと見られていた川崎汽船は、今年度も本業では収益が出にくい模様ですが、資産売却を合わせて黒字化を目指すとのこと。また比較的売り上げや収益のバランスが取れているとされる日本郵船に関しても、今年度も黒字見通しであるものの、主要因は不定期便とコロナ禍で運賃が高騰した航空輸送によるもの、だそうです。言い換えれば、船での輸送に関しては収益トントンというレベルのようです。
今後を見据えると、一時的な運賃上下も見られるでしょうし、生き残る業界ではあると感じる一方で、米中貿易摩擦や多くの海運競合による運賃競争、そして継続的なコストカットの必要性と、中長期的には更なる再編があってもおかしくないような向かい風が吹いているな、と個人的には感じます。
またこの業界を見るには、バルチック海運指数がキーになるようです。指数の構成要因がどうなっているか分かりませんし、指数のボラティリティ高いのですが、モノの移動に関する需給を間接的に示している、とも言われていますので、世界的な景気の先行指数としては要注意かと思います。(どうも最近緩慢に低下傾向なので、景気回復も力強さが感じられないかも、ですね。。)
世界的な景気が例え戻ったとしても、回復が見込まれにくい海運サブセクターもあるかと思います。それは観光、所謂クルーズ船かと。基本的に密な状態で数日間は航海し、乗客されるお客様も比較的高年齢となり、Withコロナ時代には積極的に利用するような感じの観光手段ではなさそうですね。クルーズ会社は軒並み売上高が8-9割減となる見込みのようです。