自国内で”米国留学”?になるかも
これから数年なのか、今年だけなのかはわかりませんが、もしかして、海外の学生からすると、米国留学は少し遠い存在になるのかもしれません。
一部のニュースでも話題になりましたが、米移民税関捜査局(ICE)が発表した内容によると、学校の授業がオンラインのみで行われる場合には、海外からの留学生は同学校への学生ビザ発行を認めず、また米国に入国もできず、現在米国に滞在している場合は、帰国もしくは転校の必要がある、という趣旨の発表をしたそうです。
ですから、自国で”米国留学”を、てな訳わからんことになりつつあり。
新型コロナウイルス対策として、ハーバードやMITなど著名な大学も来る9月からの次年度を、オンラインのみとしていたところも多そうでして、経済活動の回復、また人の往来が必要と唱えるトランプ政権の意向に反している大学への、一種の処罰的なアクションでないか、と見られているそうです。
この度の措置の例外はハイブリッド(所謂物理的に出席が必要なクラスとオンラインクラスの融合)でして、大学によってはハイブリッド型のやり方で9月の秋学期に臨み、海外からの生徒を引き続き受け入れる、といった方針も見せているようです。
この問題については、ざっくり大きく2つのインパクト(影響)があるかな、と感じました。
①基本的に奨学金制度が使えないため、Fulltuition(満額の学費)を支払って下さる留学生(特に直近は中国からの生徒が多いですが)、は多くの大学にとってドル箱であったわけです。加えて、新型コロナウイルス対策で、オンラインクラスにしたことで、ただでさえ現地でないのに、こんなに高価な学費を払う必要あるの?(ここはMBAとかプロフェッショナル学校なら特にですが)といわれているにも関わらず、安全面を考慮してオンラインに、と促しても、オンラインだけだと転校しないといけない、といった具合になり。泣きっ面に蜂、とまではいかなくても、似たような感じかなと思いました。
②海外からの留学生は米国の選択肢があまりよろしくない、となれば、英語で留学できる異なる選択肢(カナダ、イギリスやオランダなどの欧州、オーストラリア、そしてシンガポール、インドなどのアジア)を考えるでしょう。そして留学先で就職なども考えるでしょう。これは、所謂長期的に見た、米国の競争力低下につながりかねない、といった問題にも繋がってきます。
教育こそが国家の長い繁栄、もしくは階級社会からの変化、はたまた個人の所得増の基礎になる、というような趣旨の研究を多く出していた米国での学者たちが、自国の教育システムではなく、自国の移民制度によって長期的な変化を求められかねない。なんかちょっと皮肉だな、とも感じました。