外資企業の日本展開の今後
コロナ禍の情報にまみれ、またあまりフォーカスされていなかったニュースを取り上げてみたい、と思います。それは米マクドナルドの日本マクドナルドHD株の売却に関してです。
米マクドナルドが保有する、約50%の日本マクドナルドHD株の一部(15%)を売却、1000億程度の売却資金で、コロナ禍の米国フランチャイズ店の支援などに充てる、とのこと。また上記記事によると、米国本社から見て日本市場は他のグローバル市場対比でも、「成長がない」市場と見られており、2015年の不祥事の際にも一部売却が検討されたものの、そこから株価や売り上げが回復した足元で、打ち出の小槌的に決まったのではないか、と。また今後も3割以上を米マクドナルド社が保有し、実質的な保有に変化がないこと、そして2015年の記憶もまだあるためか新鮮さにかけ、ニュースにはならなかったのかな、と。
一方でそれなりに大きくニュースに出たのは、セブンイレブンによる超大型買収(210億ドル-約2兆2000億円)。詳細は下記記事をご確認ください。
元をたどれば、セブンイレブンというCVS業態や企業は米国から日本が持ってきたものでした。その後1991年に米セブンイレブン(当時は創業家のトンプソン家が率いていたサウスランド社)が、過剰な債務と価格競争に巻き込まれ、経営難となり、元々フランチャイジーであった日本側(のちのセブン&iHD)が米国本社を買収。今は米国事業だけで、1000億円以上の営業利益(2019年度実績で11億ドル)を積みあげ、セブン&アイホールディングス全体の1/4の営業利益を稼いでいるそう。
買収に当たり、特に日本企業による海外企業の投資について、高い!という話が多い。
今回は一店舗当たりの買収額が高い(210億ドルと3900店舗を割ると、単純に540万ドル程度)、買収倍率が高い(シナジー前で13.7倍)、シナジー統合(4.75-5.75億ドル程度)が本当に見込めるのか、という点だろう。加えて今回はガソリンスタンド付きのコンビニということで、ESGという話もついてくる。
また下記のコメントも、今後コンビニやスーパーなどの店舗が配送のピックアップポイントとなるか、という視点では面白いかな、と思った。
スピードウェイ約3900店を手中に収めるため投じた約210億ドルは、17年に米アマゾン・コムが米高級食品スーパー、ホールフーズ・マーケット(約460店)を買収した137億ドルをはるかに上回る巨額の投資
買収の考え方や金額に見方の違いはあれど、今回の買収を通じて、企業全体の更なる「成長」をセブン&i HDが取っていこうとしたことは事実である。
ここ20-30年経済成長が見られていなかった日本では珍しいことなのかもしれないが、(できれば恒常的な)「成長」という概念がやはり外資企業による、今後の日本市場のプレゼンスの意味を持ち、セブンのような今や日本企業も成長には多額の投資をするのである。今後も日本市場が魅力的であるために、資本主義のおける共通項「成長」にじっくり取り組むのも重要であると、この二件を通じて感じた次第である。