過去投稿からの進化・変化⑭‐東芝の続編あり!
昨日(2021年6月10日)東芝の所謂株主とガバナンスに対する調査結果が発表されメディア界隈がざわついていますので、私もその調査報告書を読み、考えを書いてみようと思います。
まず今回の調査報告書は、2020年7月に行われた定時株主総会が公正に行われていたか、に纏わるものです。そこでも大きく2点。
①郵送でちゃんとカウントされていなかった議決権をちゃんと計算すると、議案の賛否が変わったのでは?→『不適法かつ不公正だったが、東芝の認識及び関与は認められなかった』。またカウントし直しても、賛否に変化はなかった、とのこと。ですので、こちらは『シロ』判定、といえるかな。
②議決権行使に関して、東芝から株主に対して何かしらの圧力があったのではないか→『東芝は株主総会におけるアクティビスト対応について経産省に支援を要請し、経産省商務情報政策局ルートと緊密に連携し、改正外為法に基づく権限発動の可能性などを背景とした不当な影響を一部株主に与え、経産省商務情報政策局ルートといわば一体となって株主対応を行っていた』。ここが『クロ』判定を受けてしまったわけです。
報告書の要約に各報道機関が困っているように、特に②に関しては、かなり複雑なやり取りがあり、一概にどうこう言えるものではないでしょうが。なので、私も要約はせず、関連記事や報告書のリンクを張らせて頂きます。
私が個人的に感じたことを、ランダムに書いてみます。
ア)議決権のカウントしなおしがメインだと思っていたので、違う指摘点が出てきた!だからアクティビストの株主は、臨時株主総会を開かせて、調査をさせたんですね。(理解まで時間かかってました)
イ)昨年の定時株主総会における車谷氏への信任票が低すぎ、という投稿を以前しましたが、そう考えると、ファンドからの買収計画があったかどうかには関わらず、やはり遅かれ早かれ退任、だったんだろうな、と
ウ)これも上記投稿に書いていますが、エフィッシモキャピタルというアクティビストと呼ばれる東芝の筆頭株主ですが、彼らは元通産省官僚であった、村上さんが率いた村上ファンドの流れをくむ、ファンドになります。間接的ではありますが、村上さんの以前の職場であった通産省(現・経産省)とのバトル、と切り取り、考えると面白いなと。
エ)菅官房長官(当時)は『丘の上』というようです。笑。官邸が丘の上にあるから、なのでしょうが。でも丘の上との面談は、と書かれていたので、違うのかも
本件の調査員の方々は大変ご苦労されただろうな、と感じます。また多くのメディアでこの週末にかけて本件の話題が、企業(東芝)と官僚(経産省)や官邸(菅官房長官)との癒着、もしくは株主を軽視している、コーポレートガバナンス違反で、資本市場を歪めた、という脈で語られるでしょう。ですのでその論評以外で、私が付け加えるとすると。
各陣営が部分最適な戦術を取ろうとしていたことで生まれた複雑な歪み、とも理解できると考えます。具体的には
・企業経営陣は株主との一定程度の折り合いを見出しつつ、現状体制の維持を図る
・官僚はエフィッシモなど株主主導による、国内での重要な産業売却(ここでは原子力発電が主ですが)の可能性を、先回りして対応し、将来的な企業経営への直接的介入可能性を下げる
・ファンド投資家はコーポレートガバナンス向上もありますが、結果的に株価上昇するような経営方針を飲んでくれるような取締役を送り込み、株価上昇へ繋げる努力を続ける
各自その立場でやれることや、取るべき行動が違うと思いますし、どれが評価されるべき、批判されるべき内容かについては、全体最適の目線なり歴史という目線で見ることが大事だろうな、と感じました。(誰か将来映画化させないかな?!)
あ、ちなみにこのような調査は総務省とテレビ局や通信会社との間やりとりを開示してもらえるんですかね?だれか筆頭株主になってやってもらいたい、と個人的に思いました。