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「本を囲んだ語り部屋」2024/7/14村木真紀さん『虹色チェンジメーカー』
日曜朝のX(Twitter)スペース「本を囲んだ語り部屋」
7/14は村木真紀さんの『虹色チェンジメーカー』を取り上げました!!
本書は、レズビアンである著者の半生をつづった前半と、職場でのLGBTQ施策についてまとめた後半の2部構成となっています。LGBTQという言葉は社会に定着しているものの、当事者の多くが日常的に困難にさらされている実態があると書かれています。LGBTQの当事者が日常生活でどのような困難に直面し、どのような社会を共に生きたいと望んでいるのかという「リアル」を知ることができる1冊です。
語り部屋では冒頭、モデレータそれぞれが感じたことをシェアしていきました。自分が感じたのは先週も話題になったように固定化して物事を見ないことの大切さです。本書を読んで自分が見えている世界は非常に限定的であることを感じました。ちょうど自社ではLGBTQに関する人事担当向け研修が予定されていますが、研修に向けた事前質問を考える中では自分の問いの解像度が低いことにも気づきました。モデレータ仲間からは「知ること自体が入口」という言葉もあり、普段から知らないことがあることの自覚とそれを何かしら知ろうとする姿勢が大事だと感じました。
そして「分類がない」ということのつらさについても語り合いました。差別は分類される中で起きるものである一方で、LGBTQの方々が感じている生きづらさは「分類がない」ことで起きているというモデレータ仲間から指摘にはハッとさせられました。その中ではヴィヴェック・H・マーシーの『孤独の本質 つながりの力』という本を紹介してもらいました。人がつながっていくためには入れ物が必要であり、自分が入れる入れ物があるかどうかが生きていく上では大切というお話は印象的でした。
また山口 裕之さんの『「みんな違ってみんないい」のか?――相対主義と普遍主義の問題』という本も紹介してもらいました。「正しさは人それぞれ」といって他人との関係を切り捨てるのでもなく、「真実は一つ」といって自分と異なる考えを否定するのでもなく、その間を歩いていくことが必要というメッセージからも多様性を考える上でのヒントをもらいました。その話から朝井リョウさんの小説『正欲』にもつながりました。こちらの小説からは自分が信じる「正しさ」は誰かにとっての「暴力」になりえるというメッセージを受け取り、自分の「正しさ」に対する疑いを持てるかどうかが大切だと思いました。
参加者の方からは『「この属性の人には配慮しよう」ではなく「この人はこういう考えなんだな」が理想』というコメントもいただきました。振り返るとマジョリティーやマイノリティーといった視点で世界を見ている自分にも気づきました。社会を構成する一人ひとりにとって良い状態を考えていく上では、属性に光を当てるのではなく一人ひとりに対して光を当てていくことの大切さを感じ、民主主義のあり方自体もも考える機会となりました。
見たいものしか見えないのが人間ではありますが、一方で偏見を減らしていくことで自分自身を自由にしていくことができるという言葉ももらいました。まずは知ろうとすること、触れようとしていく姿勢を大事にしていきたいと思う味わい深い時間となりました!