「本を囲んだ語り部屋」2024/6/16鈴木裕介さん『がんばることをやめられない』
日曜朝のX(Twitter)スペース「本を囲んだ語り部屋」
6/16は鈴木裕介さんの『がんばることをやめられない』を取り上げました!!
心療内科医として身体的な症状だけではなく、その背後にある種々の生きづらさ・トラウマを見据え、心と身体をともに診る医療を心がけている著者。本書ではサブタイトルにあるように、コントロールできない感情と「トラウマ」の関係についてマンガを用いながら解説されています。
本書ではがんばりたくないのにがんばってしまうような「自分の分裂」には「トラウマ」が深く関わっていると指摘します。人間はトラウマ体験から自分を守るために自分の中に壁を作り、本来の「私」に変わって「わたし」を作っていると言います。「わたし」の存在と役割を認めて「内的対話」をしていくことが重要だという指摘は印象的でした。
語り部屋では冒頭「トラウマ」について語り合いました。本書でもトラウマとは一般的に言われる「生命を脅かされるようなでき出来事」だけでなく、日常生活で起こる傷つきもトラウマと書かれています。その中ではトラウマは「身体的な手続き記憶」でもあるというお話を紹介いただきました。その記憶は身体のどのパーツにあるかを捉え、そしてその身体のパーツと対話しながら、何を伝えようとしているかを感じることでトラウマが和らいでいくというお話は印象的でした。
身体は自分をいい状態にするために日々バランスを取ろうとしてくれている一方で、自分で自分の状態をちゃんと把握することの難しさについても語り合いました。その中で内的受容感覚を高めることの重要さという話は印象的でした。例えば水を飲んで自分の身体の中に落ちていく感覚を捉えてみることが身体の声を聴くことにつながると言います。一方で忙しい日常の中では食事も含めていかに身体の声を聴けていないかを振り返る機会にもなりました。身体の声を聴くための習慣を毎日に取り入れていくことが大切だと感じる語り合いでした。
最後は「本来はしたいのにしたくない自分」との向き合いについて語り合いました。モデレータ仲間からはあるテーマではなぜかふとブレーキがかかるという気づきに対して、半年間かけて自分の中にあるトラウマがつながったというエピソードをききました。直感的にやりたいけどできないという出来事は誰でもあるように思いますが、その出来事に対して時間をかけてしっかりと向き合うと、自分の中にある願いや祈りに気づくきっかけになるように思いました。そしてそのつながりは時間をかけて気づくものでもあり、急がないことも大事なように思いました。自分の中にある「わたし」との対話を大事にしていきたいですね。