「本を囲んだ語り部屋」2024/3/3ジュリア・ショウ『脳はなぜ都合よく記憶するのか』
日曜朝のX(Twitter)スペース「本を囲んだ語り部屋」3/3はジュリア・ショウの『脳はなぜ都合よく記憶するのか』を取り上げました!!
『生物的、科学的な観点から見て、人の脳が驚異的な能力を有しているのはまちがいない。しかし、その脳に組み込まれたメカニズムが、ある段階で記憶の幻想を生じさせ、結果的に過誤記憶が形成されてしまう。つまり、人間のもつ創造的で適応力のある記憶システムが、過誤記憶を引きおこしているのである。過誤記憶は豊かな心の代償である。』
記憶は「事実の記録」ではなく自分の中で再構成されたストーリーにすぎないということを認識する1冊でした。
語り部屋ではこの「過誤記憶」についてみんなでワイワイと語り合いました。一人ひとり見ているものが違うということ、見たいものだけを見ているということを改めて感じ、こうしている今もそれぞれがそれぞれの世界を見ていると思うと不思議な気持ちになりました。そして人はストーリーで記憶しているというお話もあり、ストーリーからは逃れられない存在であると感じました。
唯識では「一人一宇宙」という言葉がありますが、この本からも一人ひとり異なる世界の認識を持っていることを考えさせられます。COTENの深井さんは歴史を学ぶことは多面的な見方を学ぶことにつながると言います。世の中を形成しているのは無数の事実であるが、社会というのはその事実を人々がどう解釈するかによって変わると述べられていました。事実をそれぞれに解釈できるという可能性があることが多様性を生み出し、生物として生き続けられることにつながっているのかもしれません。
要約の最後にはこのような言葉が書かれていました。
『私たちの過去は「作り話」である。本当に確信を持てるのは現在起きていることだけだ。過去に対して必要以上にとらわれることなく、今という瞬間に注力するべきだ。』
ついつい過去にとらわれて今を過ごしてしまう私たちではありますが、自分が認識している過去は単なる「作り話」に過ぎないとも言えます。そのように考えると過去は変えられるものであり、今をどう生きるかが大事なのだと気づきます。瞬間瞬間が過去になる中、このいまをどう意味付けるのかが大切だと思った語り部屋でした!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?