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TENET(テネット)考察|トマス・アレポと、ニールの父、あるいは2枚の贋作に関して


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TENET。

ゴヤの贋作の存在。

作中で、全く姿をあわらさない、トマス・アレポという存在。

これらが頭の中にぼんやりと残ってしまい、仕方がない。

トマス・アレポは、過去のキャットとの不倫を匂わせている。「電話にも出れない状態にある」ので、セイターにひどい目にあわされているのだろう。金玉を喉に入れられるような。

名前はでてくるけど、映画の中で大した働きをしない。本筋にあまりに関係がなさすぎる。その一方で、ゴヤの絵とあわせて、割と映画の前面に出てきている。

また、よくわからないのが、ゴヤの絵だ。

これ、この映画に必要?

それも、結構大事な冒頭のアイテムなのだ。

黒幕と会うための、(そのまた一歩手前の)妻に近くアイテムとして不自然すぎませんか?というか、そんな迂回する必要あるのか?

で、映画の設定で絵は、贋作であるとされている。で、それは、キャットが贋作を出品しそれをセイターが購入したことで、「私の自由は奪われた」というが、これは一体どういうことなんだ?鑑定士としてのキャリアが失われ、逮捕されるというけど、不自然きわまりない(と私は思う。2回みたがやはりそう思う)

そうなのだ。これらには、どうも違和感がある。

他の謎は、なんとなく考えたらすっきりするのだが。どうもこれらだけが異質なのだ。


さて。

ゴヤといえば、『我が子を食らうサトゥルヌス』だ。

*この考察は、マックス=ニールという仮説の上に書かれています。

ローマ神話に登場するサトゥルヌス(ギリシア神話のクロノスに相当)が将来、自分の子に殺されるという予言に恐れを抱き5人の子を次々に呑み込んでいったという伝承をモチーフにしており[1]、自己の破滅に対する恐怖から狂気に取り憑かれ、伝承のように丸呑みするのではなく自分の子を頭からかじり、食い殺す凶行に及ぶ様子がリアリティをもって描かれている。

「自分の子供に殺される」というのは、セイターが、自分の子供であるニール(マックス)に殺されることを暗示している。

しかし、セイターは、悪者ながらに、息子を可愛がっていたように描かれいる。そんなセイターに対して、ニールは殺意を抱くだろうか?この点で、ニール=マックス=説を取ることに、どこかズレを感じる。

マックスは、実の親を、未来から戻ってきて殺すのだろうか?と。

でも、もしも、セイターが実の親でなかったとしたら?

ニールが、キャットと、トマス・アレポとの間に出来た子供であり、

実の親が、トマス・アレポであったとしたら?

そうだとしたら、

ニールマックス)にとって、セイターは、親(トマス・アレポ)を虐殺した仇であり、自分の母親の自由を奪う、憎き対象となるのだ。

そして、その事実を、成長したどこかのタイミングでキャットから伝えられたとしたら、

未来から戻ってきてセイター殺しに参加するという動機は成立する。

この前提に立つと、贋作という意味が見えてくる。

贋作とは本物ではないこと。本物の子供ではない=偽物の子供

ということである。

そして、その贋作が2枚ある理由も可能性としては見えてくる。少年期のニールと、未来から戻ってきた青年期のニールがこの同時の世界に二名存在することを示している。

この前提に立つと、

TENETは、実の親を殺した男に対する、ニールによる復讐劇

ということになる。


そして、またもう1つの、テネットという映画に対する、別の読解の可能性が出てくる。

セイターが、世界に絶望した理由である。

セイターは、未来人からの依頼で、アルゴリズムを集めていたが、その動機はゴールドへの欲望であり、破滅に対する欲望ではなかった。

しかしだ。

我が子が、仮に、自分の子供ではなく、不倫相手の子供だとしたら?

「自分のものにならないのなら、ぶち壊す」

そんなセイターのセリフにあるように、それは、十分に世界を破滅させるだけの動機になるのではないだろうか?

そんな事をするか?という声もあろう。しかし、セイターは、自分を殺そうとしたキャットを許す(というフリをしながら、それは自身の肥大化したプライドが故にそれを認められないだけだろう)ほどのプライド高い男ならば、それはあり得る。

つまり、世界を消去させようという動機の根本は、キャットによる不倫とそれによる別の男の子種の存在ということなる。

おそらく。

セイターは、自分の息子が本当の息子ではないことを知っている

(それはあたかもキャットが絵の鑑定をするかのように、息子のDNAを詳細に調べたのだろう)

いや、事態はこうかも知れない。

放射能を大量に浴びたセイターが子孫を残せない体になっているのかもしれないのだ。

ゴヤの作品が贋作としって、オークションで高額(おそらく10億近い)で競り落としたように。自分自身の人生という代償をはらって、他者の子供(贋作)を手元に置いていたとしたら?

セイターにとって、息子を隔離することと、贋作を手元に起き続けるということは、同じような形でのキャットに対する復讐なのではないだろうか?

そして、この観点に仮に立つとすると、ヴィランであったセイターの見え方が変わってくる。

このTENETという映画は、キャットが犯した罪を起点とした、セイターとニールのそれぞれの復讐の連鎖を描いたものなのかもしれない。

その観点に立つと。「名もなき男」と私たち観客は、知らず知らずの間に、この映画の前と後でおきた、この出来事に巻き込また被害者なのかもしれない。知らず知らずにだ。

セイターは、未来人からの依頼で世界をぶっこわそうとしたのではない。愛を注いだ妻が別の男の子供を、贋作のように、自分の手に渡したことへの絶望から、世界を消滅させようとしたのだ。

・・・って考えると、ゴヤの贋作の存在や、トマス・アレポの事がスッキリするんだけど、どうかなー。


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さっきふと思って、これも追加で書いてみた。わりとスッキリする気する

これも書いてみた。


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