Purple Noon がレコードになるまで Part.1ジェフ・マクフェトリッジとの再会
25年の時を経て、8月5日に僕のセカンド・アルバム
「Purple Noon」がレコードで発売されました。
これは僕的には一大事件です。
ただ、いまや聞いたことがない方の方が多いかも、、、な。
先日、ディストリビューターの担当の方と話していて、
彼、お互いの音楽の好みはもちろん、何より詳しいし、、、話は合うし。
「ところでPurple Noonって聞いた事あります?」
「いえ、残念ながらまだ聞いたことがなくて。」
「いま、おいくつでしたっけ?」
「38歳になります。」
そうかあ、リリース当時はまだ13歳だったのか!
現在「Purple Noon」のCDは廃盤。当時はCDのみの販売だった。
また何故か、発売元のワーナーさんのサブスクにも上がっていない為、
なかなか聞いてもらう機会もなくて、、、
現在、YouTubeで僅かに断片が味わえるくらいです。
ワーナー・フランスを通して、僕自身初めてワールドワイド・リリースした作品でもあり、リミックスも含めて100タイトル近く、世界中の様々なコンピやMIX CDに収録された僕の代表作!
今回、僕の自伝本「Rolling On The Road」の発刊を記念して、ワーナーさんからライセンスさせて頂いて、うちのGrand Galleryからリリース。
しかも当時はその形すらなかったレコードとして。
そして、ライセンスの話ももすんなり纏まり、
レコード化をするにあたって、まさかな難題とすぐに直面する事になるとはこの時は考えてもいなかった。
Purple Noonのアルバム・ジャケットは
アンディ・ウォーホルの代表作の一つ「DAISY」を使用させて頂いた。
レコード化にするにあたり、当然オリジナル作品と同じ仕様に、
と当たり前のように考えていた。
心配性の僕は念の為、過去に遡り、契約書から人の記憶まであたったところ、、、権利を所有するアンディ・ウォーホル財団とは当時CDの契約しか交わしていないことが判明する。
な、なんとー
あのジャケットで発表出来ないのか!?
まさかな、そんなことになるとは思っていなかったので、既にレコード・プレスは順調に進んでいて。
いや、まだ進まないでー、と心では叫びながら。
肝心のアートワークはどうしよう?と日々考えながらも、
これは!というアイデアが出ないまま、、、ある日レコード盤が到着。
レコードは出来ていても、まだジャケットのアイデアすらない。
焦る
焦る
そんなある日のことだ。
ジェフ・マクフェトリッジの東京での展覧会の記事を目にする。
日本での展覧会は10年ぶり?くらいになるのかな。
取り敢えず、「Welcome Back to Tokyo!」
とだけ、ジェフのインスタのメッセージへ送ってみた。
次にジェフの名前を見たのは、エルメスとのプロジェクトとインスタレーションだった。
その時、ジェフはどうだろう?と、いつもの妄想が漸く降り始めた、、、勝手に。
その日からはジェフの様々な作品をインスタ中心に見だした、いや見まくりまくった。まだ、なんの確証もないのに。
これだ!と思える一枚の作品に出会った。
ダメ元でDMしてみよう、と思いながら、何度も躊躇した。
3回会っただけだし、しかも会っていない10年の間の彼の大活躍ぶりに、
"当たらないと砕けられない"性分の僕も流石に止まった。
アルバムのアートワークはジャック・ジョンソンのを見たくらいだし。
しかし、容赦なく時は流れる。
ダメ元で、「この絵を僕のPurple Noonというアルバムに使わせてもらえないか?」とメッセージを出した。
オリジナルのアンディ・ウォーホルのアルバムと、音を添付して。
すると程なく、「OK!アートのためだから!」とまさかな快諾が!
するとジェフから、以前もやったように、小さなトレードはどうかな?
と。
そうだった!ジェフとは10年前に店のロゴと僕をモチーフにした絵(彼が考えてくれた)と、アンリ・カルティエ・ブレッソンの写真集「決定的瞬間」の初版とトレードしたのだった。
正確にもっと言うと、当時僕はこの本を数冊所有しており、ジェフがThe Beach Galleryに来てくれた時にかなり感銘を受けた様子だったので、良かったらいつか何か絵を描いてくれたら嬉しいな、と本をプレゼントしたら、後日きちんと彼は描き下ろしの絵を送ってきてくれたのだった。
当時に倣って、様々な初版本の画像を送ってみるが、なかなかトレードは成立しない。
もうジャケット印刷に入らないと、間に合わない。。
事情を説明するとすぐにハイレゾ・データを送る、と。
最早トレードではない!
ジェフから、そういえばRalph Laurenのネイティブ・アメリカンラインのヴィンテージ、沢山持ってるよね?と提案が来た。
ジェフのサイズに合う、希少なものを倉庫で探す!
これはどう?
一回でまさにトレードが成立。
これが、今回の素晴らしいアートワークの成り立ちだ。
まさにこのやり取りこそがダイレクトなアートだな、と思っている。
こうして25年が経ち、アンディ・ウォーホルからジェフ・マクフェトリッジへ。
ちなみに、インナーの写真は上田義彦さんによるものだ。
ポートレートを撮るのはパティ・スミス以来だな、と寡黙の会話の中に話して頂いた。
上田さんとは、僕がクリエイティブ・ディレクションとして参加した、スティングが設立したジャズ・レーベルのイベントから販促物までをご一緒に仕事をさせて頂いてからの仲だった。
まさかその数年後に自分のアーティスト写真を撮って頂くことになるとは。
ジェフもそうだし、"出会い"とはどのタイミングで"会う"かだよな、と改めて思う。
ジェフ、本当にありがとう!