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(ピーんポーン・・・)ねぇねえ❤️

『なんで行かんのーん❓❤️』

アイコはヒマオに対し水族館に行きたいと懇願したが、クリスマスを境に関係性は終わり、全てに『元』がつく。実際契約書を通して交わした恋ではないので、その不透明・不明瞭な部分につけこまれ交際を続行させられ続けている。

ならば……と、ヒマオは自分が彼女にとって有害であると示し続ける道を選んだ。言葉による恋心の消滅の説明は尽くした。だが、そうしたにもかかわらず朝5時から玄関チャイム越しに彼女と会話をするハメになっている。

『死ねよ、ゴミ女』
『あっ、ヒーくん優しいよねぇやっぱ……やっぱあったワケじゃん❓ 警察でもなんでもさ、助けてくれる存在があんのにさ、利用しないって……(はぁ〜)バカだよねぇ』

『おま――『で❤️ 実際さぁ、もう無理なの……まぁ残酷な事実のみをお伝えしますケドぉ〜、ヒーくんは今日このマンションから出られないですし、あと確実に死にますからぁ〜♡』

戯言を……とヒマオは思った。そもそも、この年の瀬に水族館が開いてる訳もなく、アイコと交際中、彼女に狡猾な面は一切なかったし、全てにおいて適当で、計画的な行動をした所を見たことがない。
だから今回も彼女の――『あっ❤️ 試してみる? まだ全然逃げれて、今日も明日も生きれる❣️ とか思ってるワケじゃんか〜』

……窓、いや、正面か?
今勢いよく玄関ドアーを開け、衝撃に任せて突破する……それにしても、どうしてこんなに意識が朦朧と『そうそう💕 ドレンホースから神経に有害なガス流し込んどるしぃ、窓にもつっかえ棒がありまーす❣️』

勢いよく玄関ドアーを開けると足元にトリモチが敷いてあり、倒れた先には裁縫針が無数に刺さった黒い布が待っていた。

『っはぁ〜❤️ いったそー……まぁ仕方ないって❣️ ドンマイ』
『ぐ――お、だ、誰だ……オマエは!?』

『お姉ちゃんを返せ』

『なん……の』

『死んだお姉ちゃんを返して。はやく』

『死……?』

『はやくしろよ。ホラ、これ。お姉ちゃんが編んでたマフラー。寒いよね。お前の気を引こうと頑張ってたんだろうね。そんで一緒に水族館行って、色々伝えたかったんだろうね。もう無理だけど……どうする? 行くの? 行かんの?』

『い……行きます。だから―『なんでそれをさぁ❤️ お姉ちゃんに言わんかったん❓ ま、もういいよ』

この間包丁で刺され続けていたが、顔を起こし抵抗を試みると傍らにアイコの刺殺死骸が転がっていた。

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