【短編】ミルクセーキくださいな❓
ちっちゃい頃、自動販売機にたくさんあったミルクセーキ。どこにでもあったが正鵠を覗いてるカンジ。ごめん、今の表現はナシだね。
どんな気持ちで買ってたっけ?
お年玉の一部を握ってボタンを押す時、私はどんな。本当に惰性とか抜きで『好き』だったって言えますか❓
あはは、知ってるよ子どものキミはバカだったもんね。なんにも考えてない全ては流されるがまま。メロンクリームソーダとかの方が似合ってるよ。
時間も流れたね。
キミは深夜、都会の自動販売機で久しぶりにミルクセーキを見かけてナニカと重ねた。
おかしいよね、バカの記憶なんて曖昧で確かなモノなんてないのに。どこにも私……いやキミの記憶なんてわたしのあの日の夏の冬のどこかのいつ❓
キリッとした肌寒さでした。都会の風は妙に冷たくてわたし、だから意識して『探して』たんじゃないかな。
メーカーも、味も、なんにも憶えてないけど、都会のミルクセーキは鼻に突き抜けるバニラとミルクと卵の風味? が、どれよりもいつよりも甘くてわたしは。
そうとにかく、私は今もバカなんだなって。
たくさんの『あの時』がこんなにあったのに、ちょっと風に揺られただけで忘れてて。
あてもなく歩いた暗がりの中だって、きっと。