しっかり結ばれ美しく寄り添う    岩槻久伊豆神社・夫婦木斛(もっこく)

 埼玉県さいたま市岩槻区にある久伊豆神社は、約1400年前に出雲国からご祭神の大国主命(おおくにぬしのみこと)を迎え祀ったのが始まりといわれ、岩槻城の総鎮守、江戸の鬼門除けとしても名高い由緒ある神社だ。久伊豆の音読みから「クイズ神社」勝負運に強い神社としても親しまれている。

 この神社の境内、拝殿に向かう石段の右側には、二株の根元が一つに固く結ばれた珍しい「夫婦(メオト)モッコク」があり、寄り添って並ぶ美しい樹形に「縁結びのご神木」としての信仰と人気を集めている。

埼玉・岩槻久伊豆神社 夫婦木斛(もっこく)

 冬でも緑色の葉を保つ常緑樹で、新芽は赤く色づき、春に芽吹いた若葉は、夏に向けて次第に緑に変化していく。幹の途中から吹く芽が見られる萌芽力(ほうがりょく)も強く、6月~7月ころに芳醇な甘い香り漂う花を咲かせる。開花後には直径1〜1.5cmの球形で緑色の実ができ、四季折々いくつもの表情を見せてくれる。折々に神社にお参りしてこの御神木から、季節ごとの御神徳をいただきたい。

 岩槻久伊豆神社には、朝香宮から賜った美しい孔雀がいることでも知られるが、宮司夫妻は知る人ぞ知るおしどり夫婦。神社を訪れた際には、夫婦モッコクとともにお目にかかりたい。


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