パパ活してたら間違って異世界に召喚されてお詫びとして女神とパパ活してたら人類最強になっていた件(3)
「どう思うって言われても……」
俺は祈るように下を向く。
この時、俺は青春時代の俺に戻っているのだ。少女の、俺に対する評価を異常に神経質に気にしていたあの頃の俺に……。
「いや、初対面ですし……」
みれいは気まずそうに言った。
「そ、そうだよね、僕たち初対面だもんね、はは」
最後の笑い方がミッキーに似ていると思った。
「で、でも僕たちアプリでいっぱいチャットして、趣味やお互いの仕事とかも知ってるし……」
みれいは唇を尖らせた。
「でも、それって本当なんですかね? この世界、嘘をつく人も多いんで」
そうなのだ。この世界は嘘に満ち溢れている。おじが嘘なら、女も嘘。事前に入手した情報はアテにならず、会ってから確かなことを知り、答え合わせをしていくのだ。
「ふむ、君はそう思うのかね」
俺はおじらしく思わせぶりな態度で返す。
「違いますか?」
「いや、違わないな」
俺は大袈裟なほどに深く何度も頷く。
その時……。
俺の体がふいに白く光り始めた。
「あれ? なんだこれ?」
みれいも驚いている。
「やすぴーさん、なんか光ってますよ?」
俺は自分自身や辺りを見回し
「なんだなんだ? 新手の中国製の派手な照明器具か? 令和最新版?」
なんて、冗談を言っていると厨房からさっきの女性店員が出てきて高笑いを始めた。
「ハハハハハ! ようやく見つけたぞ! この世界に逃げた異世界の勇者よ!」
「は? 勇者?」
俺は間抜けな声を出した。みれいはぽかんと口を開けて見ている。
「上手く隠していたようだったが、最初から英雄覇気が漏れていたぞ。こんなに早くお前を見つけることが出来て良かった。さすがは我らが女神様ということだ」
女性店員は不敵な笑みを浮かべながら両手をこちらに向かってかざし、何か唱えようとしている。
俺は嫌な予感がして言った。
「いや、あれは英雄覇気じゃなくて、おじの横柄な態度と恥知らずな見栄だよ!」
魔法使いらしき女性店員は吐き捨てるように言った。
「知るか! 今からお前を異世界に送還する。大人しく戻れ勇者よ。女神様がお待ちだ!」
そして、女性店員が何か呪文のようなものを口ずさむと、俺を包む光が巨大な柱のようになって……、そして俺は……。
……気付くと見知らぬ草原の中に立っていた。
つづく