パパ活してたら間違って異世界に召喚されてお詫びとして女神とパパ活してたら人類最強になっていた件(9)
俺とアストラエアは冒険者ギルドに来てクエストを選んでいた。
「ね、今日はどのクエストを受けるの?」
アストラエアは嬉しそうに俺の方を見る。
「そうだな⋯⋯、これなんかいいんじゃないか」
俺が指し示したのは、ダンジョンでのモンスター討伐と素材採取の依頼。
「いいわね⋯⋯、でもちょっと報酬が渋いんじゃないかしら」
報酬が渋い仕事をこちとら長年やってきたんですよ。とは言わない。
「まあな」
アストラエアは掲示板を見たり、依頼書を見たりしてまだクエストを選んでいる。
「これなんかどう?」
そう言って示したのは、迷い猫の捜索の依頼。貴族の飼い猫が迷子になったので、探して欲しいとのことだ。報酬は多いが、面倒な依頼だ。
「まあ、いいが」
「うん、じゃあこれにしましょう。受けてくるわね」
そう言って、アストラエアは受付に行った。
俺は椅子に座って、アストラエアの帰りを待つ。
「平和だ⋯⋯」
陽気のいい日差しが刺しこむ窓の方を見ながら、俺は一息つく。
モンスターや野盗が跳梁跋扈するこの世界が平和に思える。俺は今までどんな世界に暮らしていたんだろう。
酒とタバコをやめ、毎日クエストでダンジョンに潜ったりモンスターと戦ったりするうちに体型もすっかりスリムになった。若返った気分だ。それに、駄女神だが可愛くて優しいアストラエアもいる。
ん? 酒? そうだ、酒だ。酒は使える。
「よし、今度、酒を使って⋯⋯」
俺は心の中であることを閃き、そう独りごちた。
「お待たせ、受けてきたわよ」
アストラエアがそう言って戻って来た。
か、可愛い⋯⋯。
やはり、こいつは可愛い。俺も今まで意地を張って認めてこなかった部分があるが、やはり可愛いものは可愛いのではないだろうか。
それに、俺がさっき少しエロいことを考えていたためか、妙にセクシーにも見える。
「どうしたの?」
アストラエアが怪訝そうにこちらを見る。
「いや、なんでもない。行こうか」
そう言って、俺とアストラエアは猫の捜索に向かった。
この時、俺はまだ、あのような事件に巻き込まれることになることを知る由もなかった。