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【パパめが2】最強になった俺、女神と楽しく生きることに成功(10)

俺とアストラエアの子供は「マルス」と名付けられ、すくすくと成長していた。数日で人間の赤ちゃんの一歳半ぐらいの大きさになった。アストラエアに聞いたところ、
「さあ? よく分からないけど、神様の赤ちゃんだから、人間の赤ちゃんみたいに産まれた直後から弱すぎる、っていう欠点が無いのかもね」
と言っていた。

その頃、少し心配なことも起こっていた。

世界各地で、謎のモンスターが次々と現れ、街や村を襲撃しているという話が、冒険者ギルドを通じて、俺たちに伝わってきていた。

「変だな⋯⋯。もう魔王はこの世界にいないんじゃなかったか?」
俺はアストラエアに尋ねた。
「そうよ。神界からの情報でも、もうこの世界に魔王の魔素は存在しないって聞かされてる」
「じゃあ、野良モンスターたちがたまたま蜂起して一斉に街や村を襲ってるっていうのか?」

アストラエアは真剣な面持ちで、赤ん坊を抱きながら独りごちる。

「確かに、変ね。野良モンスターが組織的な行動をとって人々の生活圏を襲うなんて。それも各地で、一斉に」

まあ、考えていても仕方がない。神界だって、もうこの世界に魔王はいないって言ってるんだ。俺はアストラエアとマルスとの生活を楽しもう。

俺はアストラエアの横に座って、マルスの穏やかな寝顔を眺める平和な日常に戻ることにした。

⋯⋯⋯⋯。
一方、その頃。

元異世界の勇者の現魔王、セツナは、魔国領アルデバランの領内にある山の頂から、人間の村を見ていた。
その人間の村は、謎の魔物の襲撃に遭い、燃えていた。逃げ惑う人々の姿が見える。

セツナをそれを見て思わず声を発した。

「なんだ⋯⋯、あれは⋯⋯?」

セツナが見た魔物たちの姿は、セツナが知るものとは違っていた。この世界の魔物ではない。異世界の魔物⋯⋯。
八岐大蛇、一つ目の巨人、オオカミ男⋯⋯。
どれも、この世界で見た魔物ではない。

「フン、神界の愚か者どもが。また、何かロクでもないことでもやったか」

セツナは吐き捨てるようにそう言うと、山中へ消えていった。一人キャンプの続きをするためである。

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