(Don't) Believe the Truth?〜オアシス再結成の軌跡〜
夢なのか現実なのか
信じられない。未だに信じられない。
2024年8月26日。朝起きてXを開いたら、トレンドに「オアシス再結成」の文字。
オアシス再結成というキャプションの記事はこれまで何度か見たことはあるが、メディアがPV数稼ぎの為に勝手に騒ぎ立てているだけで中身はまるで事実無根のものばかり。
だから、どうせ今回も嘘なんじゃないかと思いつつ半信半疑で詳細を見てみたら、オアシスの公式アカウントによる、「明日の8amに告知をする」というなんとも意味深のメッセージが書かれたショートムービーが目に付いた。
これは…!?と思ったが、念のためノエルとリアムの両方の公式アカウントも確認。そしたら、なんと同じ動画が彼らのポストで投稿されているのだ。
彼らは言わずと知れた捻くれ者の権化であり、ここ数十年間ずっと絶え間なくお互いを歪み合い続けているのも、オアシスファンどころか音楽ファンの間ではもう周知の事実。
そんな二人が揃いも揃って同じタイミングで同じ動画をあげるだなんて不気味過ぎるし、オアシスファンからしたら到底信じがたい。天と地がひっくり返るようななにかが起こる(起こってる)予感がした。
まだ詳細の発表はなかったものの、僕はこの時点でもう確信した。
あのオアシスが復活するのだ。
10年以上の片想いを経て
思い返せば、もともと邦ロックが好きだった高校生の頃、歌詞の和訳サイトを片手に洋ロックを手当たり次第開拓していき、「Rock 'N Roll Star」に辿り着いたのがオアシスとの出会いだった。衝撃だった。
ロックの格好良さを再認識したことはもちろんのこと、リリックやアティチュードから滲み出るナニクソ根性や青臭さにもものすごく共鳴を覚えた。速攻TSUTAYAに行き、とりあえずoasisのCDをレンタルしてiTunesに全部ぶち込んだ。やっぱり手元に欲しくなり、後日渋谷のレコファンに行ってアルバムを買い揃えた。全部鮮明に覚えてる。
それから、すっかりオアシスの虜になり、毎月毎週のように彼らのインタビュー記事やギャラガー兄弟公式のSNSの投稿をチェックし、その文章を引用して翻訳アプリに貼っ付けて…なんてことをしては楽しんでいた。ただただずっと永遠にお互いのことを汚い言葉で罵倒し合っているだけなのだが、頓知の効いたジョークやユーモラスな発言はファンにとってたまらなく楽しみであった。(リアムが「あいつとまたバンドをやるくらいなら、自分のクソを食ったほうがマシ」と発言してたのは記憶に新しいが…笑)
そんなインタビューの発言の節々から彼らは再結成することなんて一生ないと確信していた。お互いのことを如何に心底から憎しみ合っているか軽蔑しているか、再結成はあくまで外野が騒いでるだけで実は1mmも考えられないことなんて、僕みたいなオアシスの熱狂ファンなら誰しもが思っていたはずなのだ。
リアムとノエルはソロで活動しており、たまに日本にも来てくれていたのでライブはそれぞれ行った。ノエルは2019年の幕張に行って初めて同じ空気を吸いながら一緒にオアシスのドンルクのアンセムを歌った。リアムに関しては去年のサマソニで観たが、オアシスの曲はやっぱり盛り上がりが格段と違った。
また、彼らのソロ曲だけでなく、彼らが影響を受けたバンドにも興味を持つようになり、ビートルズはもちろんのこと、ピストルズ、ジャム、ハピマンなど枚挙にいとまがないがUKロック全般に精通するようになった。彼らの絶対的なルーツであるローゼズは武道館の来日公演にも行った。
そのうえで改めて思ったことは、
やっぱりギャラガー兄弟を生で観たい。
ソロ曲を聴いて、UKロックも一周して、やっぱり最高にカッコいいロックンロールと言ったら、彼らの融合に叶うものはないと断言できる。さらにオアシスが恋しくなってしまった。
再結成が遂に現実へ
これってもしかしたら…?
今年に入って、これってもしかしたら…?と思うようになったのは彼らの言動の変化だ。
リアムのXに再結成を仄めかすような投稿が目立ったのだ。また、インタビュー記事ではノエルにラブコールを送ってるともはっきり言っていた。
一方で、ノエルはずっと頑なに否定し続けていたものの、はっきり否定しなくなってきたのもここ最近の話だ。いつぞやのインタビューでは再結成は「自分の抜け毛次第」と言って濁していた。如何にもギャラガー兄弟らしい返し方だが…。
また、今年のフジロックではノエルがヘッドライナーだったが、ファンサービスにしてはやけにオアシスの曲が多いなと感じていた。その後、リアムは自身のソロライブにて、ノエルのオアシスお気に入りソロ曲「Half The World Away」を歌ったり、ノエルのオアシスお気に入りソロ曲をカバーしたりしていたのも印象的であった。
あのツンデレヒネクレジジイドモ(リスペクトを込めて)がそんなことやるわけない。オアシスファンからしたら激震が走るような出来事の連続でもあった。
これはもしかしたらあるんじゃないか…!?そんな微かな希望から焦らしの気持ちがついに頂点の域に達してたところで、告知の動画を目の当たりにする。
動画は日付のメッセージだけ。なんの発表かすら詳細が全く無いのに、皆んなが勝手に騒ぎ立てトレンド入りもしたのは、僕に限らずほんの数%でもずっとオアシスの再結成を信じ続けて心底待ち望んでいたファンがこれだけ多くいるってことを改めて思い知ったような気がした。
ギャラガー兄弟のことなので、最後まで油断はできないと思い、とりあえず興奮冷めやらぬ気持ちで翌日の発表時間を待つこととした。
歴史の瞬間を再び
翌日現地時間8am、携帯の画面に張り付いて発表の瞬間を待つ。そして、ついに正式な再結成の発表を目の当たりにした。
「オアシス」15年ぶり再結成
この瞬間のために、どれほど待っただろう。未だに嬉しさより信じられないが圧倒的に優っており半気絶状態でいる。この文章を書いているこの時間も、まだ現実を飲み込めていない、事実を素直に受け入れられていないという感覚だ。
以前、オアシスファンが集うイベント「OASIS NIGHT」に参加したことがあるが、僕と同年代くらいの20〜30代の比較的若年層が多かった印象であった。そこで出会った仲間からもLINEが来た。オアシス好きな学生時代の友達からも電話が来た。リアタイ勢はもちろん、後追い勢も興奮し過ぎて正気の沙汰ではないのだ。
また、再結成と同時にちょうど1年後の来夏にUKツアーを敢行することも発表された。なんとスタジアムを会場にして14日掛けてやるのだ。
96年にイギリスのネブワースパークで敢行したライブでは2日間で25万人以上を動員し、ノエルがステージ上からその光景を見てthis is history‼︎と叫んだのはオアシスファンの間では有名な話だが、その再来、いやそれを遥かに凌駕する規模である。
近いうちに日本に来てくれることを信じて、その時には思う存分にこの感動をオアシスファンの野郎どもと共有し合いたい。と思っていたが、果たしてチケットが取れるのか、というか喧嘩してまた解散とかされたらどうしよう…。来日したら観に行くだなんて、そんな悠長なこと言ってられない。
よし、もうこうなったらイギリスに行ってやろう!千載一遇かもしれぬこのチャンスを逃すまいと思い、渡英を決意した。(現在8/31のチケット合戦に向けて絶賛待機中)
くれぐれもせめてそれまでに喧嘩別れして解散しないように…。来夏のツアーまでのこの1年間ですら、本当に何をしでかすかわからないハラハラするようなバンドだが、それも今となっては最早愛おしいものだ。