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ソングライティング・ワークブック 第190週:Juan Formell y Los Van Van (フアン・フォルメル・イ・ロス・バン・バン) (1)

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気分を変えよう

何について書こうか迷ったけれど

ここまで紹介してきたLeonard Cohenにはもっともっと興味深い歌がまだまだあるのだけれど、ちょっと気分を変えたくなった。それで全然違うタイプのものについて書くことにした。

ここまでVioleta Parra、Cole Porter、Jacques Brel、Leonard Cohenと、それぞれ言葉もターゲットにしているオーディエンスも聞かれるシチュエーションも異なるソングライター達について書いてきた。Burt Bacharach(バート・バカラック)とかAntônio Carlos Jobim(アントニオ・カルロス・ジョビン)のように後々のソングライター達に影響した作曲家、あるいはStephen Sondheim(スティーヴン・ソンドハイム)みたいに劇場で演じられるものを創った人をまた取り上げてもいいかな、とも思った。ここのところ歌詞ばかりで音の分析はお留守になっていたけれど、こういう人たちならまた楽曲分析も話題にできる(Cohenでもきれいなコード進行とか組み立てとかについて、書けないわけでもなかったのだけれど)。また、ロックバンドとかもいいかな、とも考えた。アンサンブルについても考察することができる。

また、まだ歌でありながら、聴く人を踊らせることを目的としている音楽、特にバンド(アンサンブル)によるものは取り上げてこなかった。それで、無数にあるそういう音楽から、まず思いついたものとして、Los Van Vanがあった。1969年に(1953年に始まったキューバ革命が落ち着いて今の体制になったのが1959年として、それから10年後)、ベーシストのJuan Formell(フアン・フォルメル)がそれまでにあったグループ(チャランガのオーケストラ、次回説明する)の音楽監督になったことから、この名前での活動が始まった。Formellは2014年に亡くなったが、ドラマーである息子が監督を引き継いでいる。昨年日本にも来ている。私もZepp新宿に聞きに行った。

それだけ長命のアンサンブルで、キューバの伝統的なポピュラー音楽にその時々世界のマーケットで流行っていたもの(ロックやラップなど)をプラスして、その時々のキューバの若い人たちを楽しませようと努めてきたので、スタイルの変遷も面白い。

動画は2004年、Formell存命のときにハバナのカール・マルクス劇場でのコンサートの様子。


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