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ソングライティング・ワークブック 第129週:60年代ポップスを下敷きにして(2)

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課題93(続き)

先週60年代ヒット曲をモデルにして思いついた11個のコーラスのアイデアに、仮に歌詞を付けてみる。くだらないものでいい。『Yesterday』はもとは「scrambled eggs」か何かだったらしい。何もないところに何かを作るよりも、何かあるところから変えたり加えたりしていく方が簡単だ。だから、とりあえず「何かある状態」にしておく。

それぞれのモデル曲のヴァース、プレコーラス部分も書き出して、通して聴いてみる(頭の中で鳴らしてみる)。それぞれの雰囲気はどうだろう?何か言葉かメロディーが聞こえてこないか?

下段思いついて歌詞を変えてみた。

聞こえてこないことも多いので、そういうときは気に入らなくとも無理やり書く。それぞれのコーラスのために思いついた言葉からあれこれ連想して言葉の断片を書き留めておく。さっと勢いで。

「ごめんで済むならおまわりは要らないけど」
盗んだのはあなたの心です。なんでそんなこと銭形はわざわざ言ったのだろう?あやまってますね。今更。あやまらないよりいいか。守りたいのは、名前ですか、お金ですか、カラダですか、ココロですか、家族ですか、仕事ですか、あなたですか、わたしですか、ごめんごめんごめん。

「もっと頂戴 ダメあげない」
あの子の家は引っ越してった。どこに行った?名古屋?米子?幼稚園児だったから覚えてないよ。鏡文字を書いていた。数字は100で終わりだった。悲しくなかった。ああ、いないんだなあ、て。

「早く早く早くここへ来て 抱きしめて 切ないよ」
切羽詰まって大変。でもそんなことってあるかな?自分で煽らなきゃ大丈夫。寂しい人は自分で煽る。あとは悪循環。悪循環を楽しんでる。本当かな?自分の指を噛む。

「今宵こそはサンタクロース 罪のない嘘つこう」
恋人はトナカイ。夜道を照らして走るのさ。でもトナカイを見たことがる?私は見たよ。フィンランドで。ロヴァニエミからバスに乗って北極圏を超えてイナリ湖まで行った。トナカイの群れが前を横切っている間、バスはじっと待っていた。

「おつかれさま ごくろうさま どちらが正しい?」
言葉は難しい。おつかれsummer ごくろうsummer 暑いところ大変ですね。保冷剤と保冷バッグを持って買い物に行く。扇風機のついたジャケット。現場じゃもうおなじみ。熱い空気をひたすら送る。

「背景ばかり細かい 人物は単純なのに それが今の流行りなんだね」
アニメが好きさ。eye candy eye candies ベビーフェイスと筋肉の塊。高層ビルに映る隣のビルの窓。光と影。街路樹のきらめき方が朝から夕方まで変わってくる。メガバンクのギャラリーで偉い人のコレクションを見る。村上隆、エリザベス・ペイトン、森村泰昌、シンディ・シャーマン、ヴォルフガング・ティルマンス、あとだれだっけ?写真撮ってもいいですか?

「掃き集めてもゴミはゴミ 消えるわけじゃない」
かき集めても思い出は思い出。消えるのがこわいのか。執着することに執着する。メランコリーは自らを食べて大きくなる。なんとかしようよ。なにもするな。ゴミを海に流す。ゴミで海を埋め立てる。思い出を科学する。科学的?

「おおらかに行きましょう さわやかに行きましょう 振りをすればできるでしょう」(「できるから」を「できるでしょう」に変更)
Fake it till you make it! できるまではできてるふりをしよう。みんな元気。世界は素晴らしい。はばたけ青春。だれが。君を傷つけないように。きっと無言のまま通じてる。あれどう思う。あれはあれだね。そうだね。世界に終わりが来ても君を離さない。世界に終わりが来ないと仲良くなれない。終りはそう都合よくやってこない。終わりの始まりはいつ終わる。したり顔で言う、これが終わりの始まりだと。

「何でも起こり得そうな気がしていたね だから何にも起こらなかった」
パーティの2日後私たちはカフェで会った。あなたの電話番号は本物だった。「私たちまるで10代の子たちのようだった」とあなたは言い、私は「私の10代はそんなじゃなかった」と言った。責任ある大人はドキドキだけじゃ生きられない。趣味のドローイングの話をして―あたりざわりなさそうだし。ソフトランディングを目指す。そうだったのかな。

「わかる 君もきっとわかる いつかきっとわかる 時がたてばわかる それはいつだろう」
言葉を学ぶには時間がかかる。言葉にならない言葉を学ぶにはもっと時間がかかる。ちょっとパラノイア。静かにやり過ごそう。

「目覚めるときだとあなたは言うのさ」
Despierta, despierta, wake up, wake up 時間です時間です。Despierta Tokio まだ薄暗いけど、歩き出せ。歩けば何かいい言葉思いつくかもね。太極拳の人々を通り過ぎる。そういうあなたは誰なのさ。

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