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ソングライティング・ワークブック 第108週:いろいろな楽器に対して書くときにすること(7)

前回のアンサンブルで、簡素ではあるけれど、曲の構成(フレーズ、問いと答え、ダイナミクスの変化)に合わせたオーケストレーションの例を示す。

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混色の例

編成:フルート、オーボエ、クラリネット、バスーン、ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバ、打楽器(チャイムとグロッケンシュピール持ち替え)、1stヴァイオリン、2ndヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス

以下のスコアは実音で書かれている。

1-8小節:ベースラインをチェロ(ピチカート)、コントラバス(ピチカート)、チューバ、バスーン、クラリネット、ホルンが、それぞれベースラインの一部を受け渡し合うように演奏する。フルートとオーボエもベースラインに重なる。
9小節目からはチェロ(アルコ)がベースラインを完全な形で演奏する。コントラバスは依然ピチカートでアクセントを付ける。
9-16小節:1本の主旋律を1stヴァイオリン、フルート、バスーン、オーボエで受け渡し合う。11小節目までヴァイオリンの1オクターブ下をバスーンが重なり、12小節目で1オクターブ上をフルートが重なると同時にバスーンが消える。
14小節目で1stヴァイオリンとフルートからオーボエに旋律が受け渡される。
16小節目では次のセクションのためにリズムの刻みがフルートとクラリネットとホルンによって用意される。
16-24小節ではオーボエが主旋律を演奏する。バスーンがベースラインを完全な形で演奏する。ミュートされたトランペットとトロンボーン、グロッケンシュピールがベースにアクセントを付ける。コントラバスもピチカートのまま。リズムを刻むパートのうち、ホルンとヴィオラが重なっている。ここにも混色効果が期待されている。管楽器と弦楽器が完全に分離しないように。
25-26小節と27-28小節の関係が問いと答えになっている。それが29-32小節で繰り返される。25-28小節は木管主体で、29-32小節は弦主体で音色のコントラストを作る。25-26の問いの主旋律は前のセクションに引き続きオーボエが取ることで、急に主人公が変わってしまったかのような印象を避ける。
31-32小節は次のセクションのための準備でもある。フルートのトリルとホルンで膨らんで、上行する音階でクレシェンドする。33小節目からトゥッティ。
33-40小節:トランペット、トロンボーン、オーボエがひとつのグループとして主に主旋律を演奏する。対してベースラインはバスーン、チューバ、チェロ、コントラバスが受け持つ。内声をホルンとクラリネット、刻みをフルート、ヴァイオリン、ヴィオラが受け持つ。
41小節目からがトゥッティ後半ということになる。ここではコントラバス以外の弦楽器がそれぞれ高音域で主旋律を演奏する。フルートも重ねられる。オーボエ、クラリネット、トランペット、トロンボーンは内声にまわる。
49-56小節:トゥッティから後半厚みを減らしてしだいに鎮まり主題に帰る準備をするセクション。ベースラインがほぼ主旋律。49-52小節ではバスーン、トロンボーン、チューバ、チェロ、コントラバスがそのベースラインを演奏し、フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、トランペット、ヴァイオリン、ヴィオラがリズムを刻む。
53-56小節:ベースラインはバスーン、チェロ、コントラバスに減らされる。オーボエはヴィオラと重ねられている。フルートは途中まで1stヴァイオリンと後半2ndヴァイオリンと重なる。
57-64小節:主題に帰る。クラリネットがヴィオラ、チェロ、ヴァイオリンと重ねられて主旋律を演奏する。前半はヴィオラ、チェロと重ねられ、後半はヴィオラ、2ndヴァイオリンと重ねられる。ここではチェロとヴィオラの緊張感のある高音は避けられる。ベースラインはバスーンが完全な形で演奏する。それにヴァイオリンのピチカート、グロッケンシュピール、コントラバスのピチカートがアクセントを付けるために加えられる。刻みはフルート、オーボエ、ホルンと、管楽器が演奏し、冒頭とは対照をなしている。
65-73小節:基本的にストリングカルテット+αという考えでこの曲を締めくくる。1stヴァイオリンにフルートが重ねられ主旋律を演奏する。チェロがベースラインを完全な形で演奏し、バスーン、チューバ、コントラバスがアクセントを付ける。

MusescoreでMP3プレイバックを聴くことができます。


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