マロン内藤のルーザー伝説(その3突然の出会い)
万博公園の悪夢から30年の年月を経て、あこがれのポルシェ930ターボとの出会いは突然訪れたのである。それは今から丁度18年前、雨のフライデーナイトであった。残業からの帰り道、駅から自宅に通じる道沿いにある中古車販売店の店先に、あのポルシェ930ターボが暗闇の中ひっそりと鎮座していたのである。そのお店は、ご夫婦が経営する小さなお店であり、並んでいる車もちょっと通好みのヨーロッパ車が多いのであるが、ポルシェは初めて見た。しかもしかも、夢にまでみたあのオーバーフェンダーとリアウイングの930ターボなのである。当時穴が開くほど眺めてため息をついたスーパーカーブロマイドでおなじみの深いグリーンメタリックの車体。まさに雷に打たれたような衝撃であった。次の記憶は、翌朝開店と同時にお店に印鑑を持参したところであって、それまでの記憶は全く消えて白いキャンバス状態であることは言うまでもない。
お店のおじさんによれば、その車の元持ち主は「名前を聞けばだれでも知っている超有名プロデューサー」とのことであった。当然おじさんからはその人の名前は出てこない。私も聞きたいのをぐっとこらえ、大人のたしなみとしてあえて誰かは質問せず、「あー、多分あの人のことですね、わかりますわかります」といったそぶりを見せたものの、実際はTV局の社員の名前を聞いてもわかるわけもなく、おじさんから「えー、君あの人を知らないって、それはまずいよ~」みたいなことを言われるのが嫌で、あえて知っている風を装ったのである。つくづく小心者である。
さらに、おじさんが契約にあたって念押したのは次の2点であった。
・現状渡しであり、一切の保証はなし
・古い車だから絶対に飛ばしてはいけない(危険である)
雷に打たれた私はもちろんその条件も快諾し、期せずして憧れの車のオーナーになった喜びは文字に表すことが難しいものであった。そして、おじさんの念押しの理由がよーくわかった時には後の祭りであった。
詳細は続く・・・