キャンプファイヤで火の神降臨
１クラス４５人、１学年１６クラス、卒業までの３年間一度も顔を合わさないヤツもたくさんいる、いわゆるマンモス校って呼ばれていた狭い中学校に無理やり押し込まれた「僕」が、だらだらと無為に過ごした3年間のエピソード、いわゆる「プレイバック80'エッセイ」の第5話。僕はキャンプファイヤで火の神と言われた。
中学２年の時に「宿泊訓練」って名前だったか、林間学校みたいな修学旅行の予行演習（笑）みたいな、そんな泊まり込みの行事があった。僕はその行事の中でキャンプファイヤの準備係になっていた。
現地について楽しそうに遊んでいるクラスメイトを横目に、僕たちキャンプファイヤ係はお祭りの準備に取り掛かっていたんだけれど、さらに僕はひとつ気の重い案件を抱えていた。
気の重い案件、それはキャンプファイヤの点火時に始まりのあいさつと点火の合図を出す役目になってしまったということだ。キャンプファイヤ係の中でさらに仕事をひとつ多く抱えることになって、僕は少し憂鬱になった。
が、僕は少し冷静になって考えてみた。挨拶って言うても、紙に書いたのを読んで点火の合図するだけやん、たいしたことないで...。そう自分に言い聞かせると少し気が楽になった。
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【悲報】僕、いきなり火の神にされてしまう
黙々と先生の指示に従ってキャンプファイヤの準備をしている僕らのところに、別の付き添いの先生、通称「レオタード先生」がやってきた。
レオタード先生はたぶん３０代後半から４０代前半くらいの女性の体育教師で、創作舞踊をメインにしたダンス部の顧問もしている先生だ。クラブの練習中、なぜか先生だけがすごいピンクのレオタードで指導していた。ダンス部の生徒はレオタードじゃないというのに...。僕とまっつんはその状況を見てしまってショックで下校したことがある、きょうけん（郷土研究部）も休んでしまうほどに...。
ダンス部の顧問らしく、颯爽とというか、ツカツカといった感じでレオタード先生は僕らのところに来たかと思うと、
「挨拶と点火の合図をする子は誰？」
ってテキパキ感がにじみ出るような口調で聞いてきた。もう何かいやな予感しかせえへん。「...はい」って答えた僕を見てレオタード先生は一言、
「あなたには火の神になってもらうことにしたから」
先生はそういうと、女の子のキャンプファイヤ係にあれこれ指示を出し始めた。
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１時間後、借り物のシーツをピンでまとめたギリシャ風の低品質簡易衣装とキャンプファイヤ女子がわきゃわきゃしながら作った月桂樹風の「名もなき雑草の冠」でコスプレした火の神が出来上がっていた。
レオタード先生に「ばっちりメイク」までされた自分の姿を鏡で見て僕は、「できるだけ無の境地になろう」と思うことにした...。
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だいたいこんなノリで始まった状況は、さらに追い打ちをかけて悪くなることが往々にしてある。銀河英雄伝説やアルスラーン戦記の敗残兵の末路などがそうだ。レオタード先生が仕上がった火の神の僕を満足そうに眺めてこう言った。
「あなたは火の神だから火の神の言葉で挨拶してください。先生が通訳をします。日本語ダメ絶対！」
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はっきり言うと、その後のことは頭が真っ白になっていてまったく記憶にない。宿泊訓練の後、しばらく僕のあだ名が「火の神」になったことで現実に起こったことだとかろうじてわかるくらいだ。僕は「火の神語」でうまく話せたのだろうか...。
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数年後、火の神再び降臨
高校に進学した僕は修学旅行でもう一度火の神になった。今度はバージョンアップして「恋の炎の神 v.2.0」だ...おまゆう（お前が言うな）だな。
高校のキャンプファイヤ委員の仕事は各クラスから１名ずつ選ばれた委員が、放課後にキャンプファイヤでかける曲の選定をしたり、フォークダンスの簡単な振りを考えて修学旅行までに同級生に指導したりと、地獄のような中学校時代のキャンプファイヤの思い出からは打って変わって楽しい作業になった。
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当日かけた曲でイチバン人気で、いまも耳に残っている曲がサザンオールスターズの「ミス・ブランニューデイ」だ。とにかくイントロが一度聴いたら忘れられなくなるくらい中毒性がある。今でも思い出したように聴く個人的にはサザンの曲でイチバン好きと言える名曲だ。
Youtubeにはミクちゃんが歌うのくらいしかない笑
iTunesで視聴できます
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キャンプファイヤの選曲がよかったのか（5、6曲選んだと思う）、終わった後に先生からも同級生からも褒められて、委員のメンバーは全員胸をなでおろした。
おまけというか当然というか、修学旅行のキャンプファイヤで告ったらしいカップルがたくさん成立していて、「え、君たちも！！」みたいな光景がたくさん見られて、火の神あらため恋の炎の神 v.2.0としては満足の結果だ。
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え？！君たちもなん...
キャンプファイヤ委員からもカップルが２組成立したのを最後にご報告しておく、もちろん僕以外の誰かだ...アオハルかよ。
僕以外の誰か(Short ver.) / NMB48[公式]
以上、「わりとよくあるタイプの」カップルを量産した「火の神の僕」がお送りしました。