随筆:最強名字の同級生
note駄作発表会に自称随筆家ヤスノリンコ・パンガスキー(大阪国)が徒然なるままに日暮らし以下同文...
高校生の時、同級生に最強名字をもつ男子がいた。同じクラスになったことはない。友人でもない。ただ名字が最強ということだけで記憶に残っている。
彼の名字は「堂下」である。字は「堂下」なのか「銅舌」なのか、はたまた「如何した」なのか「Do!θ」だったかは覚えていない。仮に「堂下」にしておく。「Do!θ」だったかもしれないけれど。
名字は覚えているけれど、同じクラスになったこともないので下の名前をはっきりと覚えていない。仮にイワンコヴィッチとしておこう。
さて「堂下イワンコヴィッチ」君が最強名字の威力をいかんなく発揮したのは卒業式のことである。
校長先生が卒業生ひとりひとりの名前を読み上げていく。次は堂下君の番だ。
「どうした!イワンコヴィッチ!」
僕の周りで小刻みに肩をゆらす奴が何人かいる。隣にいた悪友「まっつん」がぼそっと低いテノールの声でとどめを刺した。
「....どないしたんや、イワンコヴィッチ...」
...あとの記憶はあいまいだ。軽く失神したかもしれない。
全国のどうした君、ごめんなさい。校長とまっつんが悪いのです。
【おしまい】