見出し画像

僕と南海電車と豚まんとカップ酒(上)

先日、ツイッターをつらつらっと眺めていたらこんなツイートが飛び込んできた。

やばい、こ、これは地元の南海高野線の急行、通称「ズームカー」やないか...。大井川鐵道でまだ現役で頑張ってるのは知っていたけれど、こうやって見ると懐かしさがこみ上げてくる。いくつか大井川鐵道の公式ツイッターを辿っているうちに、いつしか僕はズームカーが現役だった小学生時代のことを思い出していた。

ズームカーは難波へ行くときの楽しみ

僕の実家から難波へ出るときは、途中の堺東駅で急行に乗り換える。難波に出るときは普段の各駅停車(各停)と違ってズームカーに乗れることが、小学生の頃の小さな楽しみのひとつだった。

うちのオトンの年の離れた弟、ヨッシーおじさんは南海電鉄に勤めていた。夜勤明けで2日ほど休みがある晴れた土曜日など、当時まだ独身だったヨッシーおじさんは小学生の僕をよく遊びに連れ出してくれた。行くところは決まって天王寺動物園か大阪球場。僕は話も面白くて何でも知っていてよく遊んでくれるヨッシーおじさんと出かけるのがすごく楽しみだった。その楽しい記憶はいつもズームカーがセットだ。中に乗ってしまえば他の電車と一緒だけれど(笑)


南海ホークスのこと

小学生当時、夕方にアニメの再放送枠があって、そのアニメを観ながら夕ご飯を食べるのが、夏休みの僕の楽しみだった。しょっちゅう再放送されていたのが「侍ジャイアンツ」だ。突拍子もない魔球がたくさん出てくる、当時の小学生に人気のアニメだった。

作中、主人公の番場蛮(ばんばばん)が所属する読売ジャイアンツのライバルとして日本シリーズで対戦するのが、当時大阪を本拠地としていた南海ホークス(現・ソフトバンクホークス)だ。水島新司原作の「あぶさん」の主人公・景浦安武(かげうらやすたけ)が所属しているのもこの南海ホークスである。

今、僕の周りは圧倒的に阪神タイガースファンが多いけれど、小学生当時は地元堺市では南海ホークスも負けず劣らず人気だった。当時の小学生男子はたいてい「野球帽」をかぶっていたけれど、僕の野球帽はもちろん南海ホークスだった。

初めての大阪球場

そんな小学校時代のある土曜日の午後、僕とヨッシーおじさんはズームカーに乗って難波へ向かっていた。いつだったか僕が大阪球場に行ったことがない、という話をしたらヨッシーおじさんが「ほんなら(大阪弁で「じゃあ」の意味)今度連れてったるわ」と言ってくれたのである。

途中の堺東駅で急行、ズームカーに乗り換えて難波まで。難波の駅から大阪球場までは歩いて5分くらいだ。ヨッシーおじさんがふたりぶんの入場券を買って、僕に一枚手渡してくれた。近鉄バッファローズ(現・オリックスバッファローズ)とのデーゲームだ。僕が学校から帰ってから向かったので試合はすでに始まっていて、派手な鳴り物の応援がうるさく聞こえてきた。

ヨッシーおじさんと僕は内野スタンド、ちょうどホークスのベンチの上に座った。初めてみる大阪球場、目の前にはテレビでしか見たことのないホークスの一軍選手たちと対戦相手のバファローズの選手たちがいる。僕は軽く興奮していた....のだが。

衝撃の光景が次々と...

だんだん最初の興奮が収まってきて、周りを見渡す余裕が出てきたんだけれど、そうすると色々なものが目に飛び込んでくる。何やねんここは...、おかしいやろ...小学生の僕は少しビビった...。


次回、「僕と南海電車と豚まんとカップ酒(下)」につづく...