地政学で考える資産保全のやり方。

新NISAが始まり、日経平均株価もバブル崩壊以降の最高値圏にある現状(令和6年1月現在)ですが、このようなことをマスコミが取り上げるほど皆さんも投資に、NISAに乗り遅れるな!と思っていらっしゃることと思います。

もちろんそれは理解しますし、私も同じ気持ちです。ですが前に進むのであれば後方の安全も確保しておきたいところ。銃後の守りは大丈夫ですか?

私ももう20年以上の投資歴がありますので実感としてあるのですが、運用利益を上げることだけを考えれば考えるほど、それ以外のことが見えなくなります。例えば日経平均株価が上がったからといって、「半年前に買っておけば〇〇円儲かってたのに、悔しい!」という感情は致し方ありませんが、だからといってその感情にながされて冷静な判断を失うことはもう全然駄目。
または、現在投資運用中の利益がかなり上がっているから、といって自分は人よりも投資上手なんだ、と浮かれるのは頂けません。もちろんそういった要素はあるかもしれませんが、恐らくそれは多くの方の平均値と同じなんです。つまり、投資運用益があるからといって、別に大したことはないのです。これで勘違いして株で少し儲けた有名人がマスコミでチヤホヤされて本まで書いて出版して・・・みたいなことがありますが、たいていは中身が超薄いか、まったくありません。

とどのつまりは、資産運用の鍵はもう単純で、余剰資金をリスク投資に回し、非余剰資金は低リスクまたは無リスク運用で回しておく、です。そしてリスク運用も低・無リスク運用も、いずれも資産は分散させておくこと。このように書くと単純に思えるのですが、実はこの分散もある程度の知恵や知識が必要です。

前置きが長くなりましたが、このNOTEではこの資産の分散について書いていきます。

投資資産運用は分散しろ、というのは少し投資の勉強をすれば誰だって目にします。ではあなたはどのような分散投資や分散運用を行ってますか?
全世界株式投資信託(オルカン)で分散している、とか、S&P500に投資している、とか聞こえてきそうです。ですがまあそれも間違っていないと思います。しかし・・・それって結局は株式投資という投資運用に全振りしていることですし、もし円建て投資であれば円資産に全振りしている、となります。つまり、投資先は分散しているものの窓口は集中しており、しかも円という通貨の一本足ですので為替リスクは常につきまといます。

ではどうすればいいのか。
まず、株式投資ではよく耳にするニュースキーワードがあります、皆さんも聞いたことがあるでしょう、「世界同時株安」。意味はまあ文字通りの意味ですので解説しませんが、この世界同時株安になってしまったら、オルカンであっても無事では済まず、大量出血となるのは目に見えてます。もちろん世界同時株安が発生すればS&P500であっても、VTIなどの指数ETFであっても同じです。

ではこの世界同時株安が起きたら、を考えると、事前に打てる手はなにがあるのでしょうか。ですがここからは論理的な思考、推論などが必要となりますので、あくまでも各々方でお考えいただくことなのですが、一例として私のプランを書いてみましょう。

まず、世界同時株安が発生すると、世界中の資金は一斉にリスク資産(株式運用などのこと)から無リスク資産(資産価値の変動が少ないもの)へ移動します。この、株式相場から資金を抜いて移動させるからこそ同時株安となり、株価の下落速度が早くなります。そして抜かれた資金の行き先は・・・米ドル、日本円、スイスフラン、の3通貨に集中します。ただし昨今はスイスフランの人気が随分下がりましたので、実際には米ドルと日本円の2通貨へ抜かれた資金が集中する、ということになります。

そして我々日本人にとって重要なのは、米ドルと日本円のどちらに資金の集中が多くなるのか、です。一般論として、資金が集まってその資金全体のボリュームが増えるとそれはその通貨が安くなり、相対的に反対側の通貨が高くなります。つまり、米ドルに資金が集まればドル安円高となり、日本円に資金が集まれば円高ドル安となる、ということです。ただし、これはあくまでも論理的推論の結果なので現実にはどうなるか分かりません。しかし、このような推測の先を見越しておくことは何もしないより遥かに生き残れる確率が高くなるはずです。

ここまでのことを簡単にまとめると、オルカンやS&P500などで投資運用中に世界同時株安が発生した、と仮定します。その後株式市場から引き抜かれた資金が米ドルに集まり、その結果としてドル安円高傾向が強くなる。なので世界同時株安のニュースが流れた時点で米ドル資金を持っていれば日本円に変えて資産の目減りを防ぐ。という流れになることでしょう。
問題なのは日本円と米ドルのどちらにより多くの資金が流れるか、ですが、相当のことがなければ米ドルだと思っていいと思います。なぜなら、世界の株式運用プレイヤーの多くの割合が米国人と、米国系ファンドです。米国人や米国系ファンドが株式運用資金を引き抜けば、それは米ドルとして戻すに決まっているから、という至極単純で納得できる理由となります。それでもなお日本円に資金が集まる場合、理由は2しか考えられません。1つめは、日本円の金利が米ドル金利よりも高い場合。これはほとんど考えられません。そして2つめは、米ドルの安定性、安全性に疑問符が付く場合です。

投資、資産運用では利益があがっていれば後はもう何とかなるだろう、と思ってしまいがちな人が多いと思いますし、もちろんそれでもいいのですが・・・その場合は相場の急変時に何をどうしたらいいのか分からず、急落する株価を目の前にただ狼狽えるだけで何も出来ず、落ち着いてみたら資産が半減していた・・・そして落胆しながらもう株なんかやるもんか!と思って全解約、などが目に浮かびます。

先程は世界同時株安を例にあげてみましたが、もちろんこれだけではありません。株価急落時に何をしたらいいのか。株価が10%下落でどうするか。50%下落でどうするか。50%下落の可能性は何パーセントなのか。50%下落してもその後に株価はどうなるのか。
実に様々なことを想定しての運用が必要なわけで、お金を入れて買ってみたら株価が上がったのでオッケー!だけだと急落時には悲惨なことになるわけですね。

自分の資産を守れるのはご自身だけです。それには分散運用が重要だとも書きました。あなたは何をどのように分散されてますか?
慎重な分散運用を考えるなら、日本円だけではなく米ドルへの分散は欠かせない、と思ってます。そして米ドルへの分散を行うなら、金融機関の分散も考えた方がいい。ちなみに日本の銀行で外貨預金を行っても、その外貨預金は預金保険機構の補償対象外なので銀行が破綻したらその外貨は戻ってきません。

同時に地理的な見方もしてみましょう。世界を見渡して今一番資産を置いたり、ビジネスでも金融でもどちらでもいいのですが投資先として不適切な国はどこか。恐らくは、ウクライナとパレスチナ自治区でしょう。他にもアフリカで内戦が盛んに行われている国や、あとは東南アジアのミャンマーも苦しい。あとは共産国家もヤバいので、中国、香港はやめておくべきでしょう。この時点で私の中では中国株投資はあり得ない、となります。

では、今現在はまだいいが将来的に不安な国はどこでしょうか?これもその時その時の世界情勢でかわりますが、現時点(令和6年1月)では申し訳ありませんが台湾と韓国です。あとはフィリピン、サウジアラビア、イスラエル、ポーランド、などでしょうか。いずれも近い将来に不測の事態が起こってもおかしくない国々です。

では日本はどうでしょうか?私が見るに日本は中国による台湾侵攻、そして北朝鮮による韓国への侵攻、この2つが無ければ安泰です。逆にいえばこの2つのうちのどちらかが発生すると(または2つ同時発生)かなりまずい。
もし発生すれば日本の株式市場は大混乱となります。またこの場合に米国株式市場の動きまで予測できませんが、恐らく一時的には世界同時株安が発生しつつも米国株がいち早く上昇を始めるのではないでしょうか。少なくても米国の軍需産業は活況を呈することになります。
ということは、日本周辺で有事が発生したら日本株を速攻で売却し、米国株の下落具合を見つつ買っていく。これが正解なんだろうと思います。

そして日本周辺での有事発生の際に為替がどうなるかですが、日本円は恐らく下落し、米ドルが高くなるのではないでしょうか。有事発生なら日本政府は今まで以上に自衛隊の強化のためにお金を使うことになります。つまり借金が増え、同時に日本円の総量が増える。これは円安要因となります。そして日本がとしての全体的な国力が下がることにもなり、これは当然、円安要因です。ということは円安ドル高の可能性が高くなるなら、米ドルを事前に持っておけばいい、ということにもなります。

このように想定されることをあげて論理的に考え、各国状況と合わせていくと、不測の事態に自分がどのようにすればいいのかが見えてきます。そしてそれが合っているかどうか、もちろん自分の推測通りに事が進めばいいですが、世の中そんなに甘くありません。ですが推測していればその推測との乖離が生じた時に対処方法を考えることもできるはずです。
問題なのは全く何もしておらず、不測の事態が発生してもオタオタするだけでどうすればいいのか分からなかった、という状況でしょう。そうなるとよくあるのが、株価下落で意気消沈し、自分には株式投資が向いてなかった、と思い込み、しかし決心がつかず、もう本当にこれ以上の損失には耐えられない!と思った瞬間にすべてを損切りして証券口座解約。そしてその直後から株価が持ち直していく・・・・まるで地獄の光景ですし、私自身も既視感しかありません。
このような悲惨なことにならないよう、シミュレーション、情報収集、為替変動の要因の確認、分散投資先の確保、などなど、新NISAで運用を始めたからオッケー!などと軽い気持ちだけでは成功は難しい、と思ってもらえたら幸いです。

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