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私とピアノの30年:③色々と必死な中学生編(前編)

小学校5年生のある日、思いつきで音楽高校行きを決め、高校受験の準備を始めた小学6年生。
中学生で更に高校受験の準備が本格化したおかげで、勉強と部活とレッスンにあけくれた、必死でボリュームたっぷりの3年間を送ることに。


盛りだくさんの基礎練習

「私は音楽高校に行く!!ピアニストになる!!」と豪語して早急に取りかかった受験対策。
受験のためにレッスン課題を全て変更。毎週30分だったレッスンが1時間になり、つまらなくて仕方がない教本とはおさらば。

ピアノを経験した人ならお馴染みであろう、ハノン・ツェルニー・ソナチネアルバム・ベートーヴェン ピアノソナタ etc…がどかーん!とやってきて、練習好きな私もこの量には白目。
「量は多いけど、発表会で弾いてきた曲に比べたら簡単じゃん☆」と楽譜見てナメてかかっていたらとんでもない。
基礎練習を怠けていたのでとにかく厄介…特にツェルニーとスケール…

受験に必要なソルフェージュ(略称ソルフェ※)の初心者向けレッスンも追加したものの、これが厄介の極み。
視唱は歌いながらメロディーが崩壊、聴音も5線紙に音を書く以前に耳でメロディーを追うこともままならず。

壊 滅 的 \(^o^)/オワタ

習い始めから大好きだった、毎週の宿題だった音楽理論を簡単に学べる音楽ドリル。
得意なものは活かそう!と自主的に宿題以外のページもガンガン進めて受験に備えたのに、音楽理論は数年前から受験科目から外れていた…

得 点 源 が 消 え た \(^o^)/オワタ

実技とソルフェを頑張らないとこれは相当大変だ…と自分のレベルを察して撃沈。
当時の私にあったのは勢いと、周りの子よりちょっと弾ける上澄みの技術だけ。

※ソルフェージュ:視唱や聴音で譜面を読んで音を正確にとらえる訓練的なもの。
視唱はその場で渡された譜面を見て歌う、聴音はメロディーを聴いて譜面に書くレッスンです。

しかたなく剣道部に入部

学生の青春の代名詞と言っても過言ではない、部活。
私にとっては練習時間が何よりも大事!汗水垂らす青い春なんて全く不要!むしろ邪魔!
それに反して、地元の中学は入部必須&転部不可の謎ルール。
校内唯一の文化部、吹奏楽部しかない!と体験入部で興味のある楽器たちを試したけど、全く魅力を感じず辞退。

そこで、小学2~4年生で剣道をやっていた頃のお馴染みのメンバーがいる剣道部へ。
先輩後輩の隔たりもほとんどなく、みんな音高に行きたいのも知っているので、ゆるーく部活を楽しんでいたのも束の間、経験者という理由で新人戦からレギュラー入り。
「え、演奏には体力と筋力も必要だしね!」と開き直って部活も頑張るのでした。

アップライトピアノを3ヶ月で壊す

音高受験を前にして、ずっと電子ピアノで練習するわけにもいかず、そろそろピアノの購入を…と考えていた1年生の終わり頃。
父のお客様が使ってない古いアップライトピアノをくださると朗報が。

今は廃盤になっている、アップライトとは思えない響きの良いピアノをいただき、両親の書斎的に使っていた部屋をピアノ部屋にして、練習に集中できる万全の環境ができあがり。
嬉しくて練習にも精が出る日々。

ある日、いくつかの鍵盤の戻りが遅いのを発見。
梅雨だしな…と数日様子を見ていたら、どんどん悪化するので、調律師さんを召喚。

応急処置はしましたが限界に近いですね…フルリニューアルしたら数十万かかります。
リニューアルの間、ピアノないと困るでしょうし、アップライトに買い替えても、この子の練習量と力に耐えられません。
グランドピアノの購入をオススメします。

いただいて3ヶ月。突然のピアノ瀕死宣告。
何年も使っていなかったピアノを急にものすごい勢いで使い倒したので、ハンマーを支えている皮が擦れてしまっていたそう。
何十年も持つピアノが、私の練習量×力に耐えられないとな…部活での筋トレの成果(弊害)がこんなところに出てくるとは。

中学2年の6月、自宅から遠く離れた鶴岡の工場?問屋?へピアノを選びに行き、少し小ぶりで可愛いグランドピアノがやってくるのでした。

町をあげての受験対策の始まり

グランドピアノで毎日しっかり練習したおかげで、だいぶ基礎も身につき、受験の準備も大詰めでさらに本格化。
小学校の時に辞めた習い事の穴は受験対策のレッスンで埋められることに。

ピアノの先生が、学校の先生や外部の先生にもお願いをしてくれたおかげで、受験のためのレッスンを2つ追加。

志望校の音楽科主任をしていたT先生にピアノを、中学の学年主任(音楽教師)の奥様であるS先生にソルフェージュをレッスンしてもらうことに。
もちろん、これまでの先生(O先生)のレッスンも継続。
3人とも地元では有名な先生で、地元の音楽イベントなどで面識もあったので、一安心。

ピアノのレッスンは毎週、T先生が指揮を務める混声合唱団の練習日に町のコンサートホールで1時間~1時間半。
ホールのスタッフさんのご協力もあって、よく響くホワイエでグランドピアノの蓋を全開にした、贅沢なレッスン。
レッスンが終わる頃には合唱団のみなさんが集まってくるので、暖かい応援に励まされながら、毎回ほっこりした気持ちに。

ソルフェージュのレッスンは、とてつもなくスパルタ。
ただでさえ学年主任のお家に行くだけで毎回緊張するのに、レッスンでは聴音、新曲視唱、コールユーブンゲン、コンコーネ、発声法…と、みっちり叩き込まれるフルコース。
練習量が減って出来が悪かったりすると、途中で帰されることもあったり…

レッスン以外でも、学校では学年主任に呼び出されて進捗確認されたり、地元の総合病院の先生が混声合唱団に入っていて状況を知っていたので、体調が悪くて病院に行くたびに練習状況を聞かれるわ、喉を必ずチェックされるわ…
練習のしすぎで肩こりや腱鞘炎にもなり、整体ではお灸で身体を冷やさないように対象してもらったり、手首や指を傷めないように処置をしてもらったり…

町ぐるみでの受験対策と言っても過言ではない、私の音高受験対策でした。

憧れのお兄さんにやっと会えた

ある日のピアノレッスンで、T先生から願ってもいない話が舞い込みます。

「Jくんが合唱団に賛助出演してくれるから、練習の日に来れるなら会ってみる?」

Jくん(仮名)とは、小学生のときに音楽祭で目が釘付けになったあのピアノ激ウマお兄さん。
会わない理由はひとつもないし、音高の話も聞きたいし、仲良くなりたいし…で緊張しながら混声合唱団の練習へ。

その時、T先生のツテで高校の卒業演奏会にお邪魔して、お兄さんのエレクトーン演奏を聴いたばかり。
(確かラヴェルのリゴードンと道化師の朝の歌だかを弾いていた気がする…)

そこでピアノではなくてエレクトーンが専攻だと発覚。
エレクトーンって1台でこんなにすごいんだ…!ピアノもエレクトーンも上手いなんて、化け物じゃないか…!
と感動しまくっていた矢先のご対面。

T先生に紹介してもらい、あとは2人で話しておいで~と2人きりにされ、聞きたいことも話したいこともたくさんあって心臓バクバクだったけど、色々と気さくに接してくれて一安心。

吹奏楽部でトランペットだったから、入試はトランペットで受験した…
大学はエレクトーンで神奈川の某音大に進学予定…

ピアノ専攻ではなく、入試は管楽器、専攻はエレクトーンだったという事実にさらに驚き。
そして、徐々に私の話へ…

Jくん「色々聞きたいことあったらいつでも連絡して!連絡先教えてくれる?」
私「あっ、はい…!」
Jくん「ところで、今何弾いてるの?」
私「ベートーヴェンの悲愴1楽章です!」
Jくん「いい曲やってるねー!今度聴かせて!」

今度聴かせて…聴かせて…きかせ…

聴かせて!!!!!!!!!!!

聴いてほしい…色々教えてほしい…でも聴いてほしくない…下手すぎて恥ずかしい…でも聴いてほしい…むしろお手本で弾いてほしい…

中学1年の冬。
憧れのお兄さんに会えただけじゃなく、連絡先をゲットできたうえに、ピアノを聴いてくれるという、漫画のような展開に、泣きそうになりながら「お、おおお、お願いしますっ!!」┏○ペコリ

その数週間後、本当に聴いてもらうことになり、また合唱団の練習の日に町のホールへ。
先生が休憩中に大ホールを使っていいと言ってくれて、ドキドキしながら大ホールで演奏。
的確なアドバイスをくれたうえに、楽譜に色々と注意するポイントを書いてくれて、更に感激。

このJくんが私が今も慕ってやまない、頭が上がらない、尊敬する大好きな「お兄ちゃん」になるのです。
大学に進学して上京してからも、夏休みや冬休みには私のピアノをみてくれたり、メールや電話で相談相手になってくれたり…一人っ子の私はお兄ちゃんの優しさに甘えまくるのでした。

そしてこの後、ピアノ人生を揺るがすとんでもない事件が次から次へと起こることに。
後編に続く。

出会い編と小学生編はこちらから↓

①出会い編

②試練だらけの小学生編



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