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18歳で出会った「7つの感謝」

改めまして。やなぎです。
サムネイルは数年前に行った、箱根の彫刻の森美術館です。
ほとんどの作品が野外にあるため、極寒の中で観光したのは良い思ひ出。

私自身が仕事をする上でのポリシー的なものも書き残しておきたいな、ということで。
水商売をガッツリしていた頃のお話でも書いていこうかと。

上京するために18歳で飛び込んだ、銀座のとある老舗高級クラブ。
分厚いマニュアルに、とてつもなく厳しい教育体制。あまりの厳しさに耐えきれず、お姉さん方が体調を崩したりメンタル病んでしまったり…と半年持たずに続々と辞めていく環境で、私も例に違わず4ヶ月ほどでお店を移っています…が、そのお店で学んだことが今も活きていて、仕事をする上での考え方の土台になりました。

銀座の老舗有名店の教育が厳しいのはよくある話ですが、そこでは一風変わった教育方針で「銀座の高級クラブで働く心得」ではなく「ビジネスの心得」がメイン。お仕事をする上で、何を意識すべきなのか、といったマインドセットを学びました。
鬼のように厳しい店長が「みんないつかはこの店を卒業していく。ここは単なる水商売の場ではない。社会で生きていくマインドを学ぶ場所だ」と明言していたほど。

お客さまの多くは有名企業の経営層、弁護士、政治家、医師、芸能人など、錚々たる方々。
特に企業の方は接待でいらっしゃることがほとんどで、目の前で商談が始まることもしばしば。
あの厳しい教育は、そういったお客さまとお酒を酌み交わしながらお話できる女性になるために、お店の格式を守るために、そして「当たり前」を当たり前に思わないために、当然のことながら必要だったのだと、今では思っています。

きっとあの頃、厳しい教育に耐え抜いていたら、私は高級クラブのチーママくらいになっていたかもしれないし、No.1ホステスとしてバリバリ稼いで昼間はピアノを弾きながら豪遊していたかも。
ですが、こうして会社員として働いている今でも、あのマニュアルに書いてあったことは、一生忘れることはないと思います。

少し話がそれましたが、その分厚いマニュアルにいちばん最初(だった気がする)に書かれていた「7つの感謝」というものがあります。

①親に
 自分が生まれてきたのは親がいるということ
②家庭に
 自分が育った環境があることに
③社会に
 自分の仕事が成り立っていることに
④友人に
 悩みや相談を聞き合い、時には助け合えることに
⑤会社に
 自分の収入、働く場所があることに
⑥お客さまに
 自分の収入源はどこから来ているのかをよく考えること
⑦同業者に
 ライバルがいることに、持ちつ持たれつができることに

誰と接するにも感謝の気持ちを忘れずに。
「ありがとうございます」と素直に言う習慣を。

①②④⑤は当たり前といえば当たり前だけど、③⑥⑦は意識しないと分からないこと。
18歳ながらにとっても感銘を受けました。

③自分の仕事が成り立っている社会に感謝する、これは本当にその通りだと。
当時はまだまだ学歴社会。高卒、しかも音楽科出身では普通の就職が困難なのは誰が見ても明らか。
それでも、18歳という年齢で水商売という仕事ができて、ピアノを弾きながら生活できるだけの金額を稼ぐことができる。
それは「水商売」と呼ばれる業種が世の中に認められて存在しているから。

⑥自分の収入の源はお客さまである、これは店長が口酸っぱく言っていたことのひとつ。
お給料はお店や会社などの、自分が所属している組織から支給されるもの。
でも組織に売上がなかったら?取引先やお客さまがいなかったら…?
仕事をする以上、支払わなければいけないお給料もお客さまがお金を払ってくれるからこそ、会社に売上や利益が発生して、自分のお給料や仕事道具に変わっていく。
お客さまが支払ってくださるお金は、仕事に対する対価。
仕事をしていく中で、どんな職業でも「お客さま」という存在が絡むことになるので、心に常にとめておきたいことのひとつです。

⑦ライバルがいて競い合えること、持ちつ持たれつができることに。
当時はすぐに理解できず、店長に「どういう意味ですか?」と聞いた時の返答が心に残っています。
「ライバルがいるから比較対象が生まれる。そこで自分が選ばれたり、自分が引き立つこともできる。時にはライバルから学ぶこともある。ライバルは邪魔者ではないんだよ。」

高校時代の私は、テストやコンクールなどで常にライバルと戦ってきていました。発表会では同門の子たちのなかでもどれだけ上手く弾いて、目立つことができるかの戦い。
店長の言葉を聞いた時に、音楽で周りと一緒に競い合えていることへのありがたみを感じて、泣きそうになりました。

今から8年前、私が所属する会社がチャットボット事業を先行的に始めていたこともあり、競合他社はほとんどいませんでした。案件がない時期もありました。
この3〜4年くらいの間で世の中にチャットボットが認知されて市民権を得てきて、競合他社がどんどん出てきたことで、コンペというものが発生し、私たちがそれまで積み上げてきた実績が評価されて、受注に繋がったときは、「あっ、あのマニュアルの『ライバルに感謝』だ!」と心の中で密かに嬉しくなることも。

仕事をするうえでの7つの感謝、いかがでしたか?
ちょっと意識してみるだけで、相手の見え方が少しだけ変わってくると思います。

私も完全なる善人ではないので「世の中のみんなありがとう!」と思えないこともたくさんあるし、人に腹を立てたりすることも全然あります。
そんなときは一息ついて、この教えを思い出して、自分の気持ちを落ち着けるようにしています。

一見、全然関係ないことや相手にとってはなんてことないことでも、自分にとって気付きになったり、視点が変わったりしたときがあれば、みなさんも「ありがとう」と口に出してみてはどうでしょう?
相手から「何が?」と言われてたとしても、言われた方は悪い気はしないはず。



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