森保ジャパン評⑤攻撃のポジション



続いて攻撃陣です。

⑤WG・SH
 三笘と伊東がこのチームの攻撃の生命線であったことを考えると、個人的には伊東が守備に重心を置かなくてはいけないWBでの起用は考慮して欲しかったです。森保氏は広島時代に確かに3バックを採用していますが、この代表では7割以上は4バックだったはずです。
 予選などでオプションで用意しているならまだしも時折やるぐらいです。プランB・Cにはなっていない完成度です。ドイツやスペインに奇策で通用しましたが思い付き・場当たり的な感じはありました。準備も少ないから選手に過剰に負担が掛かった印象です。上記の2名は前で使えばもっと効果的な攻撃を何度も生み出せていたはずです。
 負けているときの奇策ならまだわかりますが、彼らが守備に走る展開は次の4年ではあまりみたくないです。第2次岡田体制でも守備に重きをおいて勝ち上がりましたがそれでは限界がでてきて大会通して勝ち上がっていくのは厳しいでしょう。
 
三笘が台頭するまで南野を左で使い続けていました。ただポジションニングや予測力に長け、運動量豊富で周りを活かすというよりは活かされていく選手です。個人的には岡崎系のイメージです。中に入っていくのもサイドでチャンスメイクするのも予選でハマっていないのに左で使う適役を森保氏が探せていませんでした。中央で仕事をするのは良さが活きない印象です。例えば鎌田や久保建英と真ん中でポジションをお互いかえながらプレーすればフィニッシャーにもフォロワーにもなれます。なのでサイドに起用すべき選手、サイドもできる選手というのは他にいた筈です。サイドから中にはいっていくFWタイプや三笘のようにサイドも中も考えながら特徴を出せる選手をもっと呼ぶべき、試すべきでした。堂安も大会通して活躍し、メンタルや勝負強さを見せつけました。
 相馬には悪いですが確かにE-1で調子がよかったです。ただしコスタリカ戦で三笘や伊東を抑えてスタメンで使うレベルではなかったような印象です。
それなら結果論と言われるでしょうが呼ばなかった原口や旗手をジョーカーとして呼んで三笘をスタメンで使うだけでも大会通しての展開は変わったと思います。
 


⑥OH/ST
 
森保氏の選手選考のセンス、使うタイミング・適材適所のセンスのなさは4年間ずっと見させられてきました。ドイツやスペイン相手に上手くいったとしても、改善されたというよりは相手が面食らった、相手が調子がよくなく戦えていなかった印象です。選手に失礼ですが次に試合し勝てる可能性は極めて低いと思います。弱者の立場のサッカーをやり続けて勝ち続けられるほどW杯は甘くないのは他の試合をみても明らかです。
 その評価が1,2試合強豪に勝ったからと言って変えてしまうのはそれこそ逆に失礼です。営業でちょっと1,2カ月成績が良かったとして、出世できるようなものです。それこそ継続的にいい仕事をしようとしている監督、コーチ、選手に短期的な勝ちや感情論で評価を変えてしまうのは失礼だと思います。


⑥OH・ST
 鎌田は大会前からコンディションも良好で出場時間多かったです。なので評価は低いです。ドイツ戦はまずまずのプレーでしたが、期待が高かっただけにゴールへ直結するもうひとつ上のクオリティーを見せてほしかったです。またサイズもあるのでキープ力などで守備面で貢献して欲しかったのでボランチの位置で下がった展開時に穴になっていたのは今大会では一つ致命的な印象もありました。中田英や小野のように20代後半になる為3列目をメインとするのは悪い選択肢ではないですがそこを改善するか2列目でのプレークオリティを延ばすかは彼にとっても代表にとっても課題だと思います。
 久保建英は決してパフォーマンスは悪くなかったと印象です。ただしチームの戦術を彼に合わせてなかったから、最大限の良さを出した試合というのはありませんでした。スペイン相手にもパスコースの限定などの守備面もわくなかったですし、ドイツ戦で本人も話していましたが彼にチームが合わせるぐらいの才能の持ち主だけに例えばブラジルにおけるネイマール、フランスのエムバペのような選手に彼が4年後になってくれると彼にとっての2度目のW杯はいい大会になりそうです。


⑦CF
 浅野はドイツ戦で値千金の勝ち越しゴールを奪いました。その点は評価されるべきです。しかし劣勢状況のコスタリカ、クロアチア戦で結果を出せなかったので厳しい評価です。大然がプレス役で疲弊させているのにもかかわらずクロアチア相手に浅野がゴールを奪えなかったのはこの試合では最悪の結果。
 正直、この試合で途中出場の彼や南野が点を奪えなかった事や町野が戦力にできなかったの事を考えると、拒否されたという噂もありますが大迫勇を外してまで町野を呼んだのがよい選考だとは思えませんでした。
 プレス戦術が前提の為、大然でなければドイツやスペイン相手の大金星はなかった点は認められますが、上田絢はポストプレーが特徴(ポストタイプやシャドーと関わって量産する)ではない為、大迫勇かオナイウ、原大智(長身だがポスト役ではない)、鈴木優などの背負える役割の選手がいればクロアチア戦の後半や延長などは違った展開になったのではないでしょうか。

”プレー経験がない人が”、”戦術オタクが”、”欧州サッカー厨”とか言って否定されがちなのですが、プレー経験至上主義なのは少し違和  v感を感じます。やったことないくせにと言われます。プロでなくても部活動などでやり込んできた方に対して、リスペクトはしますがそこで留まって本当にいいのでしょうか?どんな仕事だって経験値がないところから全て始まりますし、選手経験があって得られる知見もありますがそうでないところからの知見もあります。
 2,3ヶ月に一度合流する代表活動では練習時間が限られるといいますが、細かい戦術の落とし込みは本当にできませんか?例えばモデルのチームを一つおいてマネからやるとかは本当にできないのでしょうか?川崎勢が多かったのならそこのやり方をベースにできませんか?欧州やJで日々研鑽を積んでいる経験値、理解力のある選手ならできませんか?毎回メンバーが変わったとしても、全員かわるのですか?何名か常連の選手はいませんか?軸の選手はどんな監督でもかわらないのでは?継続性は十分育めますよね?アンチOOとか何とかで括るのもいいですが、それで前進しようとするエネルギーをとめていませんか?
 アンチのアンチたちはこちらの否定に感情的に否定してきます。でもそういう冷静に見る目を殺している人の方が負けた時に、監督や選手を一方的にいたずらに説得力のない、相手の気持ちの配慮のない否定をしてくる印象です。
 タラレバになってしまうのは選ばれ戦った選手たちに敬意を欠いてしまいますし、単純に結果論と言われてしまいますがレギュレーションで3名も使える選手が従来より増えているのでそれを使わない手はないと思います。例えばオランダ代表は予選では使わなかったシャビシモンズを10代ながら選考し実際に試合で使いましたし、GKのノペルトにいたってはまさかの代表デビューが本大会という異例の所業でした。さすがにそこまでやれとはいいませんが欧州やJで実績を上げた選手を選び、使うことまで想定してほしかったと思うのです。

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