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実存レベルの指標から【日本の未来】を考えるための統計(経済指標から幸福度より重要な社会指標へ)

今、日本に限らず世界は、貧困や格差、環境問題など様々な社会問題があると論じられている。

しかし、これらのどの問題も全て、社会を構成する個人の実存レベルに根源的な原因があるのではないか。実存レベルとは、幸福や快楽などの一時的な状態に還元されない各個人の主観的な生における豊かさ、充実度と考えてもらえばよい。

これは社会学者の宮台真司さんが主張している「社会指標」で世の中を読み解くと理解できる。以下、一部引用する。

経済指標を盛っても根本問題は解決されない

「安倍政権はそのように『結果』を自画自賛し、メディアもそう報じてきた。しかし『結果』を強調するならば、なぜ一部の経済指標だけに注目するのか。国民の所得は、1997年以降ほぼ一貫して低下しています。OECD(経済協力開発機構)諸国でそんな国は日本だけです。個人の生活水準の指標である1人当たりの国内総生産(GDP)は、2018年にイタリアと韓国に抜かれて世界22位になりました。日本の最低賃金の低さはOECD諸国の平均の3分の2にも満たない。失業率の低さは非正規雇用の増加で『盛った』ものでしょう。経済指標だけに注目しても、『盛れない』数字はこれだけあります」

日本の悲惨な社会指標

自己肯定感、自尊心が低い日本人の特徴が明らかにされています。

「一方社会の健全さを示す社会指標に目を向けると、もっと悲惨です。日本青少年研究所の14年高校生調査では、『どんなことをしても親を世話したい』割合は中国88%、米国52%、日本38%。『親をとても尊敬している』割合は米国71%、中国60%、日本38%。『家族との生活に満足している』割合は中国51%、米国50%、日本39%。家族が空洞化しています」
 「それが自意識にも強い影響を与えます。同調査では『私は人並みの能力がある』について『とても』と答える割合は米国56%、中国33%、日本7%。『自分はダメな人間だと思うことがある』を肯定する割合は米国45%、中国56%、日本73%。子どもについてユニセフ(国連児童基金)が今年公表した幸福度調査では、先進・新興国38カ国の下から2番目です」
 「結局、社会の穴を、一部の『盛れる』経済指標で見えにくくしているだけです。実際、総裁選の候補者が語るのも、おおむね経済の話ばかりです。社会のひどさに注目する候補はいないのだから、誰がなったところで安倍政治と大差のないものが続くでしょう」

■幸福度より根源的な指標

上記の社会指標の統計は、国民主権の社会目標を考える上で、最も根源的だと思う。

何年も前からGDPに代わり、幸福度が注目を集めた。

「World Happiness Report 2021」による世界幸福度ランキングは、主に次の6つの項目のアンケート調査を中心に選出されています。
1.人口あたりGDP
2.社会的支援(ソーシャルサポート、困ったときに頼ることができる人がいるか)
3.健康寿命
4.人生の選択の自由度
5.寛容かんようさ(過去1カ月の間にチャリティーなど寄付をしたかなど)
6.腐敗の認識(不満、悲しみ、怒りの少なさ、社会、政府の腐敗が蔓延まんえんしていないか)

これらは、たしかに経済指標よりも個人の実存レベルに接近した外的に測定しやすい指標である。

しかし、経済を強くするのも、健康も、自由を感じる力も、結局その根っこは、自己肯定感や自尊心と呼ばれるような精神的な状態に由来する。

それぞれウォッチしていくのが望ましい。

宮台さんは、この決定的に重要な自己肯定感は、幼少期の両親の影響で基本的なあり方が決まるという。勝ち組負け組世界観の損得勘定だけで生きている親から「人は愛と正しさで生きていけば幸せになれるのだ」と考える子供は育たない。

■社会指標の統計データ

「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(2018年)

内閣府では、我が国と諸外国の若者の意識を比較することにより、我が国の若者の意識の特徴及び問題等を把握し、子供・若者の育成支援に関する施策の参考とするため、平成30(2018)年度に「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」1(平成30年11月及び12月に日本を含めた7か国の満13歳から満29歳までの男女を対象に実施したインターネット調査。図表1)

■高校生の生活と意識に関する調査報告書〔2014年)

国立青少年教育振興機構では、平成 26 年度に高校生を対象として実施した標記の国際比較調査について、その結果を取りまとめたので報告する。

—日本・米国・中国・韓国の比較—
平成27 年8月28 日
国立青少年教育振興機構 青少年教育研究センター

以上です。頑張ってください。


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