臆病な女子にライセンスを! 第22話 ライセンスを手に
夏休みに、普通免許のライセンスが取れた!
3人で免許証の見せ合いをしてたら、実感が湧いてきた
今日から、私一人で自動車を運転してもいいんだな~
電車で帰りながら、9月の残暑で揺れる風景を眺めていた
Tさんの携帯番号が、使われていない番号だった…
これは、どういうこと?
書き間違えたのかも…
取り敢えず、自動車学校に行って、免許証が取れたって報告に行く
Tさんに会えれば、電話番号のことははっきりするはず…だよね
免許が取れて安堵してたら、いつの間にか転寝してた
(佐藤)「藤原さん、もうすぐ降りるよ」
(矢倉)「ほっぺ、ツンツンしてやったぞ」
(藤原)「ふわ~…寝てた」
駅から歩いて15分
卒業したA自動車学校に到着
もうすぐ受付窓口が終わる時間
人もまばらだ
(佐藤)「私が先に受付けのお姉さんに、話しかけるね」
(藤原)「お願いします」
(矢倉)「どうぞ~」
(受付け)「次の方、どうぞこちらへ」
佐藤さんが、足取り軽く受付に向かった
その姿を見て、Tさんに会えると思うと
胸が高鳴る
(佐藤)「今日、免許が取れたので、担当のOさんに報告したいんですが、大丈夫ですか?」
(受付け)「Oですね、あと10分ほどで教習のインターバルになるので、呼んでまいります」
(佐藤)「有難うございます!
それから、他に友人2人が免許を取れたので、IさんとTさんも、お願いしていいですか?」
(受付け)「かしこまりました、Iも呼んでまいります
Tはグループ校のC自動車学校に配属になりましたので、あいにくですが不在です」
(佐藤)「ええ?ちょっと友人に話してきます」
佐藤さんが、ゆっくりと戻ってきた
(佐藤)「Oさんと、Iさんには会えるって…」
(矢倉)「Iさんには会えるって、Tさんはどうなの?」
(佐藤)「あの…TさんはC自動車学校に配属されたって…」
(矢倉)「うそ!?」
(藤原)「C自動車学校に配属された…」
高鳴っていた胸の鼓動が止まった
血の気が引く…
Tさん、どうしてなの?
配属が変わること、一言も聞いてないよ
携帯が繋がらなくて、しかも会えないなんて…
相談に乗ってくれるって、言ったじゃない!
どうしてなの?
寂しいよ
涙が溢れてきた…
(佐藤)「Oさんに詳しいことを訊いてみるから、泣かないで」
(矢倉)「私も、Iさんに訊いてみるよ」
(藤原)「う…うん…」
友人の優しい声掛けに、頷くのが精一杯
今はTさんの元同僚さんからの情報が頼り…
Tさんからもらった名刺の裏にある携帯番号
もしかしたら、OさんとIさんなら、携帯番号を知ってるかも…
(藤原)「佐藤さん、これをOさんに見てもらって、携帯番号が間違ってないか、確かめて欲しい…」
(佐藤)「これTさんの名刺!」
(藤原)「そう、最後の教習で、新しくもらったの」
(矢倉)「この番号に、電話をかけたの?」
(藤原)「そう…でも、現在使われていないって…」
(矢倉)「ええ!それは困ったね、Iさんにも確かめてみるね」
そろそろ、教習のインターバルの時間
佐藤さん、矢倉さん、お願い!