KREVA『No Limit』RhymeScheme
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rhymeとrhymeに関与するInternal rhymeはハイライト表記。
他のひとの記事でRhymeSchemeが出ていたけど、んー…と思ったのでつい書いてしまった。
わたしは日本語のrhymeは句単位(主に単語や文節)で構成されるものだと思っているから、ハイライトも基本的に句単位になる。あと、効果的・確実にrhymeとして機能していない部分、特にダブルになっていない箇所や、明らかに発声に抑揚がなく音声的に弱い箇所、また省略的に発声されている箇所までハイライトするのは、rhymeとは何か、どういう機能や役割を持つのかということを曖昧にしてしまうし、作詞者の意図が不明確になってしまうので良くないと思っている。
ところで、わたしはKREVAはめちゃくちゃ好きだし、この曲も何度も楽しく聴けているが、改めてRhymeSchemeを客観的に見てしまうと「ああ…」とはなる。
その理由はやはり、ライムスキームが壊れているからだろう。
Internal rhymeとrhymeの役割が比較的きれいに分かれているのは、かなり良い感じに思えるし高い技術を感じさせるけど、ワンライナー(日本のHIPHOPによくある1小節内でライムスキームを組もうとするやつ)が多用されているし、特に「散らばる破片」部分や「最後の小節」は顕著にライムスキームが壊れているから、聴いていてどうしても微妙な?感覚にはなる。
しかしワンライナーではあるが、HOOKの「本気に」と「規制」交代は、だいぶスムーズに、あまり違和感なく聴ける。これはなかなか不思議だが、ワンライナーがさらに半句に分割されて良い感じになっていると考えればいいのかもしれない。正直謎ではある笑
あと「見てないぞ」部分だが、ここは個人的には「ヒーロー」「いいの」とはrhymeされてないと感じるので、正直ハイライトすべきかは悩んだ。「後悔」「もう終わり」「どっかに」のInternal rhymeは、理論的・音声的に効果が出るセットではなく、やや下線を引くか悩んだが、割とKREVAらしい技術として認識できるので引くことにした。
楽しめる楽曲ではあるけど、んーもう少しRhymeSchemeがきれいなほうが…と個人的には感じた。
追記
ちなみにこの楽曲は、短い楽曲なので、『ストロングスタイル』や『基準』に近い立ち位置だと思うが、ゆえに”例外的”な押韻の技術が多用されている感じがある。(ワンライナーも含めて)
たとえば、『No Limit』はSemirhyme(余剰韻)が多用されている。
正直/ノーリミ(ット)
どうす(る)/恐怖
滴る汗/みんな無くなって(くから)
マキビシ/脇道(を)
内側/ぶちかま(せ)
こういう風に、余分な音が付加される語彙同士でrhymeペアを組むことによって、押韻の「響き」を複雑な(正統的・オーソドックスではない)ものにしている。この楽曲はSemirhymeの数が多いが、おそらくこれは意図的なものだろう。
よってワンライナーの多用や、やや突飛なライムスキームが組まれていることも意図的な表現だと認識することができる。