VOCALOIDでめぐるヒップホップ!! ~HIPHOPってなんぞや の巻~
こんばんは。Sagishiです。
2016年3月12日に、niconicoのブロマガで『VOCALOIDでめぐるヒップホップ!!』という記事を書きました。これまで多くのかたに読んでいただき、12,000PVまでいきました。ありがとうございます。
今年の10/7にniconicoのブロマガサービスが終了することになったので、noteに記事の引っ越しします。
特に大きな変更はありませんが、note向けに内容は修正しています。
1 ~HIPHOPってなんぞや の巻~
ヒップホップの起源は、1970年代にさかのぼります。アメリカのブロンクス地区の「ブロック・パーティ」と呼ばれるパーティからはじまりました。公園でDJが音楽を流し、踊ったりしながら楽しむ、というようなパーティです。するとある時、DJは「みんな音楽のサビじゃなくて間奏で一番盛り上がってね?」ということに気づきます。
「じゃあ間奏を繋げて、ずっと間奏流し続ければもっと盛り上がるじゃん!」
これがヒップホップの始まり、"ブレイクビーツ"の誕生です。ヒップホップは元ある曲の一部分のフレーズを抜き出して、それを再構成することで生まれた音楽です。普通の音楽と違い、「同じフレーズが何度も繰り返される」という大きな特徴があります。論より証拠、聴いてみてください。
同じフレーズの繰り返しによって生まれるグルーヴが、ヒップホップではとても大事にされます。これは「ループ」と呼ばれます。特にビートが強調されている曲はとても好ましい印象があります。
ヒップホップを聴く際には、是非トラックが「ループしている!」という観点を持って聴いてみてください。
2 ~実践編 VOCALOIDのHIPHOP!~
続いて、わたしが好きなVOCALOIDのHIPHOP曲を紹介していきます。
・MSSサウンドシステム
特に初期作品の『耳なりはフェンダーローズ』は傑作で、太いビートが心地よく、大音量で聴きたい楽曲です。彼なしには、VOCALOIDのHIPHOPの隆盛はあり得なかったでしょう。
・Torero
RIP SLYMEを彷彿とさせるようなサウンドに、4機のボカロ(ミク、リン、ルカ、GUMI)を使ったラップの掛け合いが特徴のPです。聴いてて楽しくなるカッコいい音楽、それがToreroの大きな魅力です。
・松傘
初音ミクの英語ライブラリを使ったラップで、VOCALOID HIPHOPの表現を大きく広げました。卓抜したアートセンスを持っており、動画の映像も非常に楽しめるPです。タブーなしのリリックは、どこか蠱惑的で、危険な魅力があります。
・空海月
非常に洗練されたビートメイクと、キュートなサウンドが特徴のPです。週末が待ち遠しくなるような歌詞、愛らしさとクールな音作りを両立させているのが魅力です。
・でんの子P
高いエンターテイメント性とストーリーテリングのある歌詞、変幻自在な楽曲構成。蒼姫ラピスを中心に、多数のVOCALOIDの操作ができるPです。
・やながみゆき
トラップのラップフロウを、VOCALOIDで最も成功させているPです。『サイバーかわいくないガール』は、脚韻の落とし方も一つひとつ凝っていて、非常に聴き応えがあります。
・mayrock
柔軟でスムースなフロウ、ユーモアなリリック、RaggaからGlichHopまで横断する音楽性をもつPです。深い造詣に裏打ちされた音楽は、聴いていてとても心地よいです。
・neilguse-il
映像的な、輪郭の鮮やかな楽曲を製作するPです。Jazzyな音を基調に、乾いたビートを鳴らし、GUMIの甘い声が挿入されるのは絶品です。
・anoinbae
トラップのラップフロウが巧みで、高いリリックセンスを持つPです。特に『hollow』は大傑作です。
・青屋夏生
しなやかで巧みなトラックを作るPです。高い総合力が感じられる楽曲が多く、『蛹』『モンキービジネス』は本当に良い楽曲です。
・iNat
人×VOCALOIDで、カッコよく疾走感のある楽曲が特徴のPです。『アダルトファイア』は艶っぽさもあり、素晴らしい楽曲です。
・円盤P
楽曲のリズムが非常に秀でたPです。動画のエンターテイメント性も高く、思わず笑顔になります。
・Xnaga Yuzo
挑戦的な楽曲を多く投稿しているひとです。MIKUHOPをよく聴いている人なら知っておくべきお作法。
・初音ミクの証言
日本語ラップのクラシック『証言』を、VOCALOIDでRemixした楽曲です。私もマイク7で参加しています。
3 最後に
ここに載せたVOCALOIDのヒップホップ曲は、ほんの一部です。好きになっていただけたのなら、さらにDIGして新しい世界を見つけるのも良いし、一つの曲を繰り返し聴くのも良いし、自由に楽しめればと思います。
ボカロのヒップホップを知らなかったというひとは、ちょっと覗いてみてください。なんでこのひとはこういう曲を作るんだろうとか、なんでこのひとはこういう曲が好きなんだろうとか、色々と思いを馳せることはいいものです。