採用基準はこの2つだけでいいかもしれない【小さな会社の採用基準】
こんにちは。パパゲーノのやすまさです。2022年3月に創業してから1年になります。4人体制の小さな会社ですが、この4人じゃなかったら今頃どうなっていたんだろうというくらい「スタートアップは採用が全て」と感じています。
僕は過去に、外部資本を入れてない中小企業、シリーズBからIPO後のスタートアップ、個人事業主(副業)として働く経験をしてきました。採用も20名ほどは担当したのですが、中規模のスタートアップと、「創業初期〜シリーズA」くらいまでのスタートアップでは、求められる「採用基準」が全然違うと感じています。
5人目の採用活動をする中で、自分の中でも採用基準が言語化できてきたので、数名規模の小さな会社が考える「2つの採用基準」をまとめてみます。
2つの採用基準
シンプルに考えると小さな会社の採用基準は以下の2つです。
パーパスを自分の言葉で語り、他者を魅了できるか?
「給与」以上に「売上(粗利)」をすぐに上げられるか?
会社ごとに採用基準は細かく考えると思いますが、社員数名〜10数名規模のスタートアップにとって、上記の2つは共通している採用基準なんじゃないかと思います。(②はちょっとシビアで血も涙もない基準ですが)
【1】パーパスを自分の言葉で語り、他者を魅了できるか?
1つ目が、会社のビジョン・ミッションや、パーパス(存在意義)に共感し、自分の言葉で他者を魅了できることです。特に僕がリーチできない層を魅了できそうな人とは一緒に働く意義がありそうだなと思えます。理由は以下の2つ。
日々の仕事内容が大幅に変わるから(パーパスに向けた推進力が必要)
リソースも少なく認知度も低い中で他者から信頼を勝ち得る営業力が求められるから(この人と一緒に仕事したいなと思われる力が必要)
事業フェーズごとに、「0→1」は「WHY」をゼロベースで考えられる人材、「1→10」は「HOW」を考え実行できる人材、「10→100」は「WHAT」を愚直に社内政治しながらしなやかに推進できる人材が必要です。
0→1:WHY人材
1→10:HOW人材
10→100:WHAT人材
小さな会社に求められるのは「WHY人材」です。規模感の大小はあれど、小さい会社の事業は何度もピボットします。対峙する課題が日々変動する中で自律的に仕事を創り、「リソースも認知もない中で他者から信頼を勝ち取り課題解決を推進できるか?」が求められます。社外の人をパーパスで魅了できないと、仕事を前に進められないことが多いです。
判断方法としては、「この会社を自分の夢を叶えるために使ってくれそうだな」という感覚を持てるかが大事かなと思います。そういう人は、会社のパーパスを話したときに、受動的に「共感しました」と言うのではなく、自分なりの体験談に裏付けされた独自の切り口で顧客や社会の理想を語り出したりします。「意義深い挑戦を一緒に楽しめそうだな〜」と感じたら、採用しようと思えます。自分とは異なる切り口でパーパスを語り、新たな対象層(ステークホルダー)を魅了して事業を広げていけるような人と働けると、より遠くまでいけるなと感じます。
これは僕自身のマネジメントスタイルに依存するところも大きいかもしれないですが、自分の夢をトップダウンで叶えていくよりも、個々人の夢を応援しながら組織の大きな夢に集合体として向かっていく方が楽しいし、結果として良い事業を創れると信じています。なので最も大事にしている採用基準です。70〜80%くらいこれで決めてると言っても過言ではないかもしれないです。
(思考実験として、僕が死んでもパパゲーノの夢を追いたい人と働きたいなという気持ちです。)
【2】給与以上に売上を上げられるか?
2つ目は給与以上の売上(粗利)を立てられることです。極端なことを言えば、来月に自分の給与以上に売上をもたらしてくれるのであれば採用しない理由がありません。(無茶振り)
「自分が入社すれば、来月の売上は自分の給与以上に伸ばせるので採用しない理由がないですよ」と言える人を、小さな会社は喉から手が出るほど採用したいのが本音です(わがまますぎる)。
もちろん、大前提として「経営者自身が売上を伸ばす努力」や、「再現性高く売上を伸ばす仕組みづくり」は必要ですが、できたての会社は「夢はある、事業はまだない。お金もない。」な状態なのです。(もちろん、会社が大きくなるにつれて、売上を再現性高く立てる仕組みがより高度に求められます)
この無茶苦茶な採用基準は、事業や組織の価値を高めるために「最も明瞭で合理的な基準」です。現預金残高の少ない小さな会社は、「短期に利益回収できる投資」がシビアに求められます。なぜなら、現預金残高が少ないからです。(小泉構文)
人件費が増えると、会社の現預金が減るスピードが早まります。会社のお金が尽きるまでの残り期間を「ランウェイ」と言います。黒字企業のランウェイは無限ですが、赤字企業はそのまま放置すると数ヶ月後に資金が底を尽きて潰れます。そして創業まもない会社の多くは赤字です。つまり、「自分の給料」に法定福利費や管理費を加えた金額を補ってあまりある売上を立てることで「営業利益」を生み出せる人しか採用する余裕がないということです。逆にプラスのキャッシュフローを生める人材は一気に会社を前進させます。
当然ながら、「自分で売上を立てられる」という人は、色んな会社で内定が取れて、個人事業主としても生きていけるような、いわゆる「優秀な人材」「市場価値の高い人材」です。「短期的な経済合理性」だけで言ったら、わざわざ小さな会社で働くメリットがないような方です。少ない給与でめちゃめちゃ売上を立てられる人を採用するのは「都合の良すぎる無理ゲー」です。でも、「無理ゲー」しかしないのが小さな会社の採用戦略においては超重要だと思います。社員数名の会社にとっては、1人の影響があまりにも大きいです。1人1人の採用が奇跡的なドラマの連続です。
給与も然り、給与以外の意味報酬も然り、最大限価値を提供できるようになり、内定を出した時に、内定承諾してもらえる会社になりたいものです。
採用基準にしないもの
逆に、当たり前のことではありますが、以下のような項目は全く見ていないです。どんな方でもウェルカムです。(むしろ、自分と異なる価値観や強みを持つ人と化学反応を起こしていきたいです)
国籍
人種
宗教・信条
学歴
職歴
性別・ジェンダー・性的志向
年齢
病歴
外見
社会的身分
まとめ
小さい会社を経営していると、本当にリソースがない中で頭を捻り「なんとかする」ことが求められます。採用基準もシビアにならざるを得ません。烏滸がましいけど、相手の人生の貴重な時間を預かることになるので、相応の覚悟が必要です。
会社というものは「パーパスに向けて持続的にプラスのキャッシュフローを生み出し続ける仕組み」なので、この2つの基準は本質的には会社の規模の大小に限らず共通すべきものな気もします。いくら人数が増えて分業が進んでも。採用基準を考えている方にとって、何かの参考になれば幸いです。
※アイキャッチ画像は伊賀泰代さんの「採用基準」のパロディーです。
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